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Case5:お金ではなく時間をかけた誠心誠意の対応が望まれる2017年12月18日

お客様を相手にした商売にカスタマーサービスは必要不可欠。この連載では顧客対応に関する“アレコレ”を「カスタマーサービスのお悩み相談室」の個性豊かな面々が解説していきます。

今回ご紹介するのは、いつも穏やかな笑顔で事案を解決へと導く増山利伸(55)が担当した【医療機器メーカーにおける動作不良クレーム】回答編です。

最重要課題は奥様にご理解いただくこと

増山利伸(55)

こんにちは、増山です。

前回に引き続き、医療機器メーカーで起こった動作不良クレームの事例を解説してまいります。このケースは、セントラルメディカお客様相談室でマネージャーを務める橋下誠さん(50)からのご相談です。実際のところ、該当する医療機器の不具合は確認できなかったといいますが、ひとりの人間の生死が危うくなったという非常に重い事実にどう対応するべきなのかと頭を悩ませていました。

クレーム内容
  • ◆納入した医療機器において電源が切れた状態で作動していなかったため生死が危ぶまれた
    →後日調査の結果では機器に動作不良はないことがわかる
  • ◆意識が戻るまでの約1ヵ月、奥様は病院へ通いつめ看病することになった
    →妻は精神的にも肉体的にも不安定な日々を過ごした

 
実際に被害に遭われたのは夫である中山健一さん(45)ですが、このケースの場合、ご本人よりも妻である真由美さん(42)への負担が大きかったことが容易に想像できます。セントラルメディカとしてもそのことは十分に考慮し、道義的・社会的責任を果たすべきだと判断してお見舞金をお渡しすることを提案しています。

しかし特に命に関わるような事案は、金銭のみでの解決策では不十分でしょう。たとえ時間がかかったとして、正直に経緯や経過をしっかりとご説明し、奥様のご理解をいただくことが何より必要であり、そのために何ができるかを考えるようにアドバイスいたしました。


・・・・・・(定例のご報告電話にて)・・・・・・

 

hashimoto
橋下誠

セントラルメディカの橋下でございます。今週の経過報告をさせていただきたく、お電話いたしました。お時間ちょうだいしてもよろしいでしょうか?

nakayama
中山真由美

どうぞ。何かわかりました?

hashimoto
橋下誠

引き続き、本ケースと同じタイプの医療機器に関して、継続調査を行っておりますが、同様の事例は発生しておりません。どの機器も問題なく動作していることを確認しています。

nakamaya
中山真由美

何も変わらないわね。あなたも毎週毎週大変でしょう。もう終わりにしましょう。

hashimoto
橋下誠

いえ、ご不安な思いをさせてしまった中山様がご納得できるまで状況をお伝えするのが私の勤めでございます。配慮あるお言葉、ありがとうございます。私どもの立場をご理解いただきましたことに感謝申し上げます。

・・・・・・(その後、お見舞金をお渡しして解決)・・・・・・


今回のケースでは、毎週金曜日の午前11時に「1週間の経過報告」を行うことをお約束し、約3ヵ月に渡って約束を果たすことで奥様に心を開いていただき、解決にいたりました。長期間に及んで誠実に丁寧に対応することで、奥様にはお客様相談室としての立場もご理解もいただき、最終的には基準内のお見舞金を増額することでご了承いただけたそうです。

このように法的には賠償責任はなくとも、人としての対応が望まれるケースも存在します。しかもその対応方法にマニュアルはなく、相手に寄り添った内容の対応をして差し上げることが大切です。クレーム対応は通常の接客力だけでなく、ときに人間力が試される仕事でもあります。相手の立場になって考えられる想像力と柔軟性を身につけたいものですね。
 

※この記事はカスタマーサービスの対応例を学ぶために事実を元に構成したフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
 
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