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Case4:ピンチをチャンスに!? 歩み寄りの姿勢を見せることは和解への道2017年11月27日

お客様を相手にした商売にカスタマーサービスは必要不可欠。この連載では顧客対応に関する“アレコレ”を「カスタマーサービスのお悩み相談室」の個性豊かな面々が解説していきます。

今回ご紹介するのは、当相談室の室長である四谷信司(58)が自ら担当した【取扱製商品の欠陥・不良クレーム】回答編です。

人の心を動かすのは人! ときにはマニュアルを超えた対応も必要

四谷信司(58)

こんにちは、当相談室の室長を務める四谷です。

前回に引き続いて解説するのは、製造業における取扱製商品の欠陥・不良クレームの事例です。電機メーカーNEOでお客様相談室マネージャーを務める新堂治さん(45)が頭を悩ませているのは、すぐに電話を途中で切ってしまうお客様・後藤哲朗さん(66)のクレーム対応方法です。

クレーム内容
  • ◆電話での応対や商品の着払い返送など、一辺倒な対応で気分が悪い
    →社内にクレーム対応マニュアルがあり、それに基づいて対応している
  • ◆購入したカメラが壊れていたから取りに来て謝罪するのが当たり前
    →通常は商品を着払いの宅配便にて回収している

 
お電話をいただいた時点で商品不良はメーカー側の責任である可能性が高いことがわかっているとのことでしたので、イレギュラーな対応にはなりますが、顧客宅を直接訪問の上、商品を回収することをご提案いたしました。ご不快な思いをさせてしまった点をお詫びし、回収した商品は検査の上でメーカー側の責任が判明すれば、改めて謝罪をすることをお約束するようアドバイスさせていただきました。


・・・・・・(顧客宅訪問)・・・・・・

 

shindo
新堂治

この度は大変ご不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございませんでした。

gotou
後藤哲朗

お客をなんだと思ってるんだ。何度も何度も同じこと言わせて。社員教育がなってないんじゃないか?

shindo
新堂治

「10分後のご連絡」については、お客様のお気持ちを汲み取れず、大変失礼いたしました。私どもとしましては、何度もご説明いただくことがないよう報告書を作成し、さらに担当者の在席を確認し、その担当者がしっかりと状況を理解した上で、折り返しのご連絡をさせていただくために、お時間をいただいております。正直なところ10分という時間は物理的に厳しくはありますが、後藤様のご意見を私どもへの改善のアドバイスと受け止め、今後は10分後のご連絡ができるよう努力し、物理的に難しい場合はその旨を10分後にお電話でお伝えするよう対応を改めさせていただきます。

gotou
後藤哲朗

なるほど。これが例のカメラだよ。シャッターが押せないカメラなんてホント意味ないよな。

shindo
新堂治

誠に申し訳ございません。確かに商品をお預かりいたします。しっかりと原因調査の上、結果をご報告いたします。また商品の着払い返送に関しましては、どこのメーカーも原因調査のための商品は着払いでの回収をお願いしており、弊社もその点を考える機会がございませんでした。こちらも後藤様のご意見を真摯に受け止め、今後は状況に応じて担当者の判断でお客様を訪問し、直接回収ができるようにマニュアルを改善させていただきます。

・・・・・・(後日、商品検査の結果、責任はメーカー側にあると判明)・・・・・・

 

shindo
新堂治

先日ご購入いただいたカメラの商品検査が完了しましたのでご報告致します。内部にあるネジに欠陥があることが判明いたしました。この度は重ね重ね申し訳ございませんでした。つきましては商品の交換もしくはご返金という対応を考えております。どちらをご希望でしょうか?

gotou
後藤哲朗

商品の交換でいいよ。うるさく言って悪かったな。定年後にこれ持ってカメラ教室に通うの楽しみにしてたんだよ。わざわざ来てもらった二人の対応には満足してるんで今後もお宅の商品を使うよ。

shindo
新堂治

ありがとうございます。今後ともNEOをよろしくお願いいたします。

 


今回の場合はメーカー側からお客様へ歩み寄ることで解決に至りました。最終的には商品を使い続けていただけるという嬉しいお言葉までいただいたとのこと。不満がいっぱいだった後藤さんがNEOのファンに変わった瞬間です。

マニュアル通りの対応がときに怒りを増大させてしまい、思わぬ二重クレームに発展させてしまう原因になることもあります。さらに相手の顔が見えない電話だと、切電されてしまえばそこで会話終了です。そんな場合は顔を合わせて話し合うことが必要なのではないでしょうか。人の心を動かすのはマニュアルではなく人です。

たとえマニュアル通りの対応から外れたとしても、お客様の求めるものを汲み取り、臨機応援な対応をすることが解決策となるかもしれません。これは普段の生活でも言えることですね。常に相手の気持ちを思いやることができる柔軟な心を持ちたいものです!
 

※この記事はカスタマーサービスの対応例を学ぶために事実を元に構成したフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
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