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Case2:実害が発生していない場合は必ずしも慰謝料を支払う責任はない2017年9月18日

お客様を相手にした商売にカスタマーサービスは必要不可欠。この連載では顧客対応に関する“アレコレ”を「カスタマーサービスのお悩み相談室」の個性豊かな面々が解説していきます。

今回ご紹介するのは、一見近寄りがたい風貌ながら話すと人を虜にしてしまう大杉毅(50)が担当した【食品メーカーにおける異物混入クレーム】回答編です。

慰謝料を支払うかどうかのポイントは実害の発生

大杉毅(50)

こんにちは、大杉です。

前回に引き続き、食品の異物混入クレームの対応を考えていきましょう。橋下和子さん(47)より朝食のシリアルに金属片が入っていたとのクレームを受け対応する山崎みさきさん(32)の事例です。

クレーム内容
  • ◆購入した商品に金属片が混ざっていた
  • ◆危険を感じたので慰謝料を支払って欲しい

 
食品の異物混入クレームの場合、直ちに現物を回収して調査に回すのが鉄則。お電話での和解が困難であったため、山崎さんにはすぐに橋下さん宅を訪問し、不安を感じさせたことへのお詫びをお伝えるようにアドバイスしました。場合によっては郵送で送っていただくケースもあるでしょう。

現物を受け取った時点では何が原因で該当の異物が混入したかは不明です。これを明らかにするには調査が必要となります。そのためこの段階では、お客様にどれだけ要求されても「慰謝料」などの補償の話はせず、「調査結果をふまえた上で今後対応させていただきます」と伝えるだけに留めておくことが重要です。


yamazaki
山崎みさき

この度はご不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございません。早速ではありますが先日ご連絡いただきました、金属片を拝見させていただけますでしょうか?

avator
橋下和子

これよ、これ。気づかないで食べていたら流血してるわよ!

yamazaki
山崎みさき

ありがとうございます。では早急にこちらの金属片を調査させていただき、その結果をご報告させていただきます。その結果をふまえた上で今後対応させていただきますので今しばらくお時間を頂戴したく存じます。

hashimoto
橋下和子

え、何言ってるの!! 危ないところだったんだから慰謝料を払うのが当然でしょ! 調査なんて知らないわよ。

yamazaki
山崎みさき

申し訳ございません。弊社の規定により、異物混入が発生した際はしかるべき調査を行う規則になっております。どうぞご理解いただけますようお願いいたします。


事実の確認

  • ◆幸いにも口に入れる前に気づいているので実際には怪我はしていない
  • ◆調査の結果、混入していた金属片は製造工場の一部と判明
  • ◆未来フーズはお客様に「安全」と「安心」を提供することが企業にとっての大きな課題であり、社会的責任であると認識

 
残念ながら金属片の調査結果は、今回の異物混入が未来フーズ側の過失だということを示していました。橋下さん宅を再度訪問の上、しっかりと調査結果を報告し、再発防止に努めることをご説明。問題の慰謝料についてですが、橋下さんの場合は実際には怪我をされていないので、商品代金の返金のみの対応でご理解いただき、解決にいたりました。

食品の異物混入クレームで慰謝料が発生するのは、該当の異物によって何らかの傷を負ったという事実が立証された場合がほとんど。なぜなら慰謝料は、精神的苦痛に対する賠償であるため、実害がなければ精神的苦痛は発生しないと考えられる場合が多いからです。

メーカーの過失により食品に異物が混入してしまったとしても、それが直ちに慰謝料を支払わなければならないという判断に直結するものではありません。慰謝料を支払うべきかどうかは、具体的事情に基づいて慎重に判断する必要があります。
 

※この記事はカスタマーサービスの対応例を学ぶために事実を元に構成したフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

 

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