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Case9:ポイントは色落ち・色移りがジーンズの瑕疵と言えるかどうか2018年5月7日

お客様を相手にした商売にカスタマーサービスは必要不可欠。この連載では顧客対応に関する“アレコレ”を「カスタマーサービスのお悩み相談室」の個性豊かな面々が解説していきます。

今回ご紹介するのは、一見近寄りがたい風貌ながら話すと人を虜にしてしまう大杉毅(50)が担当した【アパレルにおける品質トラブルクレーム】回答編です。

洗濯によるジーンズの色落ち・色移りは予想できる結果

大杉毅(50)

こんにちは、大杉です。

前回に引き続き、アパレルブランドのネイビーファブリックで起きた品質に関するクレームの対応を考えていきましょう。お客様である渡辺愛さん(52)は2年前に購入したジーンズによる色落ちのせいでブラウスがダメになったと主張しておいでです。しかし企業としてはジーンズの色落ち・色移りは予想できる事象であるためホームページ等にもその旨を掲載しており、補償することはできかねるとご説明してもなかなかご納得いただけない状況でした。

クレーム内容
  • ◆2年前に購入したジーンズの色落ちによりブラウスに色移りした
  • ◆ブラウスの代金と社長による謝罪文を要求

 
今回の争点は2つ。1つ目は色落ちがジーンズの瑕疵にあたるかどうかです。この「瑕疵」というのは製品の欠陥のことを言います。一般的に考えて一切の色落ち・色移りがないことはジーンズの通常求められる品質とは言えず、この場合は瑕疵にあたらないという判断ができます。

2つ目は、ジーンズから色落ちし、別の衣類に色移りしたという因果関係の成立。購入から2年が経過しているということは、何度か洗濯をしている可能性があり、そうであれば、ジーンズが原因で他の衣類に色移りしたという因果関係を証明できないと言えるでしょう。


watanabe
渡辺愛

いったいいつになったらブラウスを弁償してくれるの? 客に対する誠意がないんじゃない。

satake
佐竹直樹

決してそのようなことはございません。以前からご説明させていただいております通り、今回のようなケースは補償の対象外とさせていただいているため対応できかねます。何卒ご理解くださいませ。

watanabe
渡辺愛

どうしてよ。現におたくのジーンズのせいでブラウスが台無しなったのになんの補償もしてくれないなんてサービス悪いわ。

satake
佐竹直樹

当社ジーンズは染物の製品でございますため、色落ちや色移りが考えられます。これは製品の欠陥ではなく特性でございます。そのためお洗濯の際は十分にご注意いただくよう、商品タグやホームページにてお願い申し上げております。またご購入から2年が経過しており、何が色移りの原因かも特定しがたいかと存じます。度々お電話いただき、誠に申し訳ありませんが、これ以上の対応はできかねますことをご了承ください。

watanabe
渡辺愛

もういいわよ。二度とおたくのジーンズは買わないから!!!(ガチャ)

 


瑕疵が認められず、因果関係が立証できない以上、賠償する責任はありません。つまり渡辺さんが要求する金銭の要求や社長による謝罪文の要求には応えられないという判断で問題ありません。結果的にひとりお客様を失ったかのような結末ですが、対応としては正解です。

普通の人が簡単にクレーマーになってしまうと言われる現代社会では、渡辺さんのようにサービスを自分の都合のいいように解釈して、無茶なことを訴えてくる方が中にはいます。見極めは必要ですが、そんな方よりも製品やサービスを愛してくださるお客様の声を大切にするほうが重要ではないでしょうか。

また今回のケースのように企業の規模によってはお客様相談の専任担当を設けていないこともあるでしょう。そうした場合は通常業務と合わせて対応することになり、通常業務に支障が出ることも考えられます。いざというときのために相談できる機関を確保しておくと心強いと思います。
 

※この記事はカスタマーサービスの対応例を学ぶために事実を元に構成したフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
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