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Case6:薬局での処方せん紛失について賠償をしなければならないのか?2018年1月15日

お客様を相手にした商売にカスタマーサービスは必要不可欠。この連載では顧客対応に関する“アレコレ”を「カスタマーサービスのお悩み相談室」の個性豊かな面々が解説していきます。

今回ご紹介するのは、いつも冷静沈着な室内随一の頭脳派である青山健一(47)が担当した【薬局における処方せん紛失クレーム】相談編です。

「紛失した個人情報を買い取れ!」は正当な主張か?

青山健一(47)

こんにちは、青山です。

今回、僕がお話しさせていただくのは薬局で起きた処方せん紛失クレームについての対応事例です。相談者はリラ調剤薬局で店長を務める新井和真さん(43)。当日の処方せんチェックにおいて、お客様である佐田浩史さん(51)の処方せんがないことが発覚したため、すぐにお電話にてその旨をご連絡してお詫び申し上げたところ、金銭での解決を要求されるクレームに発展してしまったそうです。

悪用されて被害にあったらどうしてくれる! 大事な個人情報を失くしたんだから、相応の金額で買い取ってくれるだろうな。

とお客様である佐田さんは激昂され、電話を切ってしまわれたとのこと。早急かつ正確な対応が望まれるため、当相談室にご相談にいただきました。ご存じの通り、処方せんとは医師が診察をした際に必要だと判断した薬の種類や用法、用量、服用する日数などを記載する公的文書のひとつですので、徹底した管理の元で取り扱う必要があります。


arai
新井和真

佐田様のお電話でしょうか? 私、リラ調剤薬局店長の新井と申します。本日はご来店ありがとうございました。

sata
佐田浩史

はい、そうですが何か?

arai
新井和真

大変恐縮ですがお詫び申し上げなければならないことがあり、お電話いたしました。本日の処方せんチェックを行ったところ、お客様の処方せんがないことがないことがわかりました。ただ、その後あらゆる調査をした結果、外部に漏えいした事実はあり得ないことが判明しております。まずはご報告をさせていただきたく、ご連絡いたしました。この度はご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。

sata
佐田浩史

えっ、見つからないってどういうことですか。こっちは窓口でちゃんと渡してるし、薬ももらってるんだから、店でしっかり管理してるはずですよね。

arai
新井和真

誠に申し訳ございません。スタッフ一同で探しておりますが見当たらない状況でございまして……。

sata
佐田浩史

客から預かった処方せんを失くすなんて、いったいどんな管理をしてるんだ。悪用されて被害にあったらどうしてくれる! 失くした個人情報を買い取ってくれ、金額はそちらで決めろ!!(ガチャ)

・・・・・・(一方的に切電される)・・・・・・


佐田さんのおっしゃる通り、実は処方せんには氏名や生年月日をはじめ、病歴や保険番号などの情報など、個人を特定できる情報がぎっしりと記載されているため、紛失した情報が個人情報にあたるのは間違いありません。しかし店内での紛失であり、実際に悪用された事実がない状態で、個人情報の買い取りという対応は果たして妥当でしょうか。みなさんならどう対処しますか?
 

※この記事はカスタマーサービスの対応例を学ぶために事実を元に構成したフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
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