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企業がサービス規定を公表する目的と効果2023年8月14日

どのようなビジネスであっても、お客様から苦情やクレームをいただいてしまうことがあります。この連載「苦情・クレーム対応ガイドブック」では、そんなもしもの事態に備えてその対応方法を解説していきます。今回のテーマは、「企業がサービス規定を公表する目的と効果」です。

社会問題化しつつあるカスタマーハラスメント

広くアナウンスする

ここ最近、大きな話題となっている飲食店での迷惑行為。外食テロとして連日ニュースでも取り上げられるなど、全国的な社会問題になりつつあります。こうした状況を受けて、被害にあった企業は警察に被害届を提出。民事・刑事の両面から厳正に対処していくとの声明を出し、その毅然とした姿勢が大きな注目を集めました。
 
今回の一連の騒動に関連する動きとして、近年、カスタマーハラスメント(カスハラ)に対する方針を公表する事業者が増えています。以前には大手ゲームメーカーが自社の「修理サービス規程/保証規程」に、カスハラに関する内容を盛り込んだことが話題になりました。
 
実際、2020年2月に厚生労働省が発表した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」でも、カスハラに対する基本姿勢を明確にすることを推奨しています。今や、企業におけるカスハラ対策が義務化されつつあると言えるでしょう。
 
厚生労働省「カスタマーハラスメント対策」の詳細はこちら
 
企業がサービス規定を公表する理由
企業がカスハラに関するサービス規定を公表する目的としては、以下の3つが考えられます。
 

クレーマーへの抑止力

あらかじめカスハラに関するサービス規定を公表することで、クレーマーへの抑止力につながります。この場合、「脅迫行為があったと判断した場合、サービスをお断りする場合がある」など、具体的な例を挙げて明記するとより効果的です。
 

迅速な問題解決

カスハラに関するサービス規定を公表しておけば、迅速な対応が可能になります。理不尽な要求や「他社ではこうしてくれた」などの反論に対しても、自社のスタンスを明確に示すことができるので、不要な時間を費やすことなく問題を解決できます。
 

従業員の保護

事業者がカスハラに関するサービス規定を公表する最大の目的は、従業員の保護です。現場のスタッフは、日々クレーマーの対応に追われています。中には、大きな声を出されたり謝罪を強要されたりといったケースもあり、精神的負担がかかることも少なくありません。そうした状況を回避するためにも、サービス規定の公表は意義あるものと言えるでしょう。
 

顧客対応も時代に合わせてアップデートを

日本のサービス事業者は、かねてより「お客様は神様である」といった価値観から、お客様の要求に合わせる風潮がありました。しかし、カスハラが社会的に問題視されるようになった今、そうした考えは過去のものになりつつあります。「お客様と事業者は対等な立場である」という考えのもと、時代に合った価値観にアップデートしていくことが大切です。
 
そのためには、カスハラに関するサービス規定を公表するだけでなく、実際にカスハラを受けた際の体制整備や従業員への周知徹底なども合わせて行う必要があります。組織と現場が一体となってカスハラ対策に取り組むことが大事。毅然とした姿勢で対応するためにも、現場の声に耳を傾けながら自社としてのスタンスを確立していきましょう。
 

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