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Case6:紛失した場所や経緯によっては積極的対応をすべき場合がある2018年1月22日
今回ご紹介するのは、いつも冷静沈着な室内随一の頭脳派である青山健一(47)が担当した【薬局における処方せん紛失クレーム】回答編です。
個人情報紛失はしかるべき行政機関に指示を仰ぐ必要あり
こんにちは、青山です。
前回に引き続き、新井和真さん(43)が店長を務めるリラ調剤薬局で起きた薬局における処方せん紛失クレームのお話をしたいと思います。お客様である佐田浩史さん(51)より、個人情報の紛失を金銭で解決するよう要求されたこのケースの対応を考えていきましょう。
クレーム内容
- ◆処方せんを紛失したのは薬局内
- ◆悪用される恐れがあるので買取を希望
今回のケースはたった1件とはいえ個人情報の紛失であるため、コンプライアンスに沿った対応を行う必要があります。しかるべき行政機関の判断を仰ぐよう指示し、その上で、お客様にも処方せんの紛失に伴う経緯や経過をしっかりとご報告するようアドバイスさせていただきました。ちなみに処方せんを扱う行政機関は各管轄区域保健所の薬事指導係となります。
保健所の判断では、今回は処方せん1枚だけなので顛末書の提出をもって行政への報告とし、厚生局への届け出は不要。職員が処方せんを薬局外へ持ち出して紛失したわけではないので個人情報の流出として扱う必要はないという結論となりました。また後日、処方せんが見つかった場合は口頭で再度報告するよう指示を受けたそうです。
・・・・・・(後日、店舗での話し合い)・・・・・・
ご足労いただき、ありがとうございます。この度は多大なご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。
で、いくらで買い取ってくれるんですか?
大変恐縮ですが本事案が原因だと思われる損害がある場合は検討させていただきますが、そうでない場合は金銭での解決をご提案することはできかねます。今後そういった実害が生じた場合には誠意を持って対応させていただくことはお約束いたしますので、何卒ご理解ください。
・・・・・・(本事案の対応経過や改善策をご報告する)・・・・・・
なるほど、しかたないですね。これまでの話を証拠として書面でもらえますか?
承知しました。書面化については社内で協議させていただき、再度ご連絡いたします。申し訳ございませんでした。以後、このようなことがないよう再発防止に努めて参ります。引き続き、しっかりと対応させていただきますので今後ともよろしくお願いいたします。
論点となっている「金銭での解決」についての対応は、この紛失と損害の因果関係がポイントになってきます。処方せんの情報が外部に流出していないか、処方せんの紛失が原因と思われる実損害が発生していないかを確認していただき、現状そのような事実がなければ、何らかの補償や情報の買い取り等の金銭的解決をご提案することはできかねる旨を、丁寧に順を追ってお伝えし、ご理解いただくことです。
今回は、しかるべき行政機関への報告対応や、再発防止のための改善対策をご報告し、また今後本件との因果関係が認められる損害が発生した場合は誠意ある対応をさせていただくことをお約束し、解決にいたりました。またお客様がこれらの書面化を望まれたため、後日、お詫び文を添えてお渡ししたそうです。
何らか悪用をされかねない個人情報はしっかりと取り扱う管理体制を整えておく必要があります。また今回のように紛失事案が発生してしまった場合は早期に対処しましょう。間違っても隠蔽などは行わないように!
選任担当者がおらず十分な対応ができていない
難易度の高いクレームが増えてきて困っている
スタッフによるスキル差が目立ちはじめた
……など
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