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企業としてのカスハラ対策2024年1月15日

どのようなビジネスであっても、お客様から苦情やクレームをいただいてしまうことがあります。この連載「苦情・クレーム対応ガイドブック」では、そんなもしもの事態に備えてその対応方法を解説していきます。今回のテーマは、サービス事業者が取り組むべき「企業としてのカスハラ対策」です。

カスハラから従業員を守るのは企業の義務

レッドカードを持つ人

カスタマーハラスメント(カスハラ)という言葉が社会的に浸透した今なお、さまざまなカスハラに悩む企業が後を絶ちません。少し前に一部の企業でサービス規定にカスハラ対策の項目を追加したことが話題になりましたが、そのような取り組みを実施している企業はごくわずか。多くの企業では現場の従業員に対応を委ねているのが現状です。
 
そんな中、厚生労働省は2022年2月に「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(*1)」を発表しました。これは、企業に対してカスハラへの自主的な取り組みを促すもので、悪質なクレームや過剰要求、それに伴う精神的苦痛から従業員を守ることを求めています。
 
カスタマーハラスメント対策企業マニュアルではさまざまな対応が提示されていますが、主なカスハラ対策としては以下のようなものがあります。
 

カスハラに対する企業としての方針を明示

企業としてのカスハラの定義や対策に向けた基本姿勢を明確にし、トップ自らが社内外へ広く発信することが大切です。対策への本気度を伝えることでカスハラへの警告になるだけでなく、現場の従業員にも安心感を与えることができます。
 

カスハラ相談窓口の設置

カスハラを受けた従業員が気軽に相談できるよう、相談先を明確にすることも大事です。上司や管理者はもちろん、社内に専用窓口を設置するのも有効です。対応者は相談内容がカスハラに該当するかを客観的に判断。相談者の心身の状況などにも配慮しながら、慎重に相談に応じましょう。
 

ルールの策定・マニュアルの整備

カスハラを受けた際に従業員が適切に対処できるよう、あらかじめルールを決めておきます。暴言や侮辱発言は記録を取って証拠を残しておく、誹謗中傷は弁護士に相談して連携を図る、脅迫や暴力が伴う場合は複数名で対応し速やかに警察へ連絡する……など、カスハラのパターンに応じて詳細にマニュアル化するのがポイントです。
 

従業員への教育・研修の徹底

カスハラに対する認識を深めるために、日頃から研修などを通じて従業員への教育を行いましょう。会社の方針・社内の相談先・マニュアルの共有に加えて、実際にあったカスハラの事例や具体的な対処法、クレーマーへの接し方などを研修に盛り込むのもいいですね。
 

企業としてのカスハラ対策は社会を変える重要なアクション

カスハラは時代や社会情勢の変化を受けて、その時々でかたちを変えます。また、一つの事例に対して正解が一つとも限りません。状況によっては別の対応が相応しい、ということもあるでしょう。そのため、再発防止に向けて運用は随時アップデートすることをおすすめします。
 
いくら企業が積極的にカスハラ対策を講じても、顧客側の理解が進まなければ、その効果は限定的になってしまいます。だからこそ、現場の声にしっかりと耳を傾けつつ、企業が率先して声を上げることが大事。カスハラから従業員を守るのはもちろん、「お客様は神様」という従来の認識・価値観から脱却して社会を変えていくためにも、大きな一歩を踏み出しましょう。
 
(*1)出典:カスタマーハラスメント対策企業マニュアル, 厚生労働省, 2022年2月
 

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