ホーム › 連載・コラム › Case17:弁護士などと連携し、法的な見解を伝えるのが好ましい
Case17:弁護士などと連携し、法的な見解を伝えるのが好ましい2022年11月7日
今回ご紹介するのは、当相談室の室長である四谷信司(58)が自ら担当した【薬局における調剤過誤による過剰要求クレーム】模範対応編です。
理不尽な要求から従業員を守るのも企業の責任
こんにちは、当相談室の室長を務める四谷です。
前回に引き続き、調剤薬局チェーンを展開しているサンシャイン薬局で起きた、調剤過誤による過剰要求クレームの事例について見ていきましょう。薬剤師の中村皇成さん(30)が、お客様の今泉昭二さん(66)にお渡しする薬を取り間違えてしまったことに端を発する今回のケース。会社として手厚く謝罪したにもかかわらず、担当者に対して執拗な要求がなされてしまった事例です。
クレーム内容
- ◆ミスをした担当者に、丸坊主にして謝罪してほしい
すでにサンシャイン薬局は今泉さんに対し、今回のミスが起きた経緯について報告書を通じて説明の上、謝罪しています。また、現在のところ健康被害がないことは確認済み。これ以上できることはないというのが法律上の見解であり、中村さん個人に対する『丸坊主』の要求を受け入れる必要も全くありません。
そのため、今回の事例における適切な対応としては、しっかりと弁護士に相談した上で、上記について粛々と説明するのがベストでしょう。いつまでも解決を先延ばしにしていると、相手の怒りが増幅する可能性も高まりますし、会社として従業員を守るという意味でも、毅然とした姿勢を示すことが大切です。
・・・・・・・(今泉宅へ3度目の訪問)・・・・・・
何度も申し訳ございません。改めてお話しできたらと思い、伺いました。
申し訳ありません……。
丸坊主にして謝罪に来いと言ったのに、していないじゃないか。それで謝罪のつもりか?
お怒りはごもっともです。責任は弊社にあり、社内規定に則って誠心誠意対応させていただきます。ミスの再発に努めるのはもちろん、今回の件について社内で記録を残すとともに、適切な指導・教育を施すことをお約束いたします。
そんなことで許されることじゃないんだよ。お前も上司ならこいつを坊主にさせて謝らせろよ!
今回の件について弊社の弁護士に相談しましたところ、坊主にしろというご要望については、弊社のコンプライアンスと照らし合わせて従業員に命ずることは到底できません。どうかこのことを持ちまして、私どもの謝罪をお受けいただけませんでしょうか。
被害者はこっちなんだから、こっちの要求を飲むのが筋だろう?
大変恐縮ですが、こちらとしましては丸坊主にというご要望に対しては過剰要求と判断せざるを得ません。今後このような事案が再発しないよう努めてまいりますので、何卒ご了承いただけますと幸いです。
どんなに注意を払っていても、人的ミスをゼロにするのは難しいもの。それでも、社員教育を徹底しミスの再発防止に努めることは、企業が果たすべき責任と言えるでしょう。それと同時に、クレーマーによる理不尽な要求から従業員を守るのも企業の責務。判断に悩むようなケースは弁護士など、しかるべき相談機関の力を借りるのも、有効な手段のひとつです。
弁護士 藤本慎司 監修|東京弁護士会所属
〒105-0003
東京都港区西新橋1-21-8 弁護士ビル410号
03-5251-3786
選任担当者がおらず十分な対応ができていない
難易度の高いクレームが増えてきて困っている
スタッフによるスキル差が目立ちはじめた
……など
苦情・クレーム対応のことならお気軽にご相談ください。
※「クレームナビ」を見たとお伝えいただくとスムーズです。