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Case8:申告者の立場を迅速に把握するために傾聴がなにより大切2020年12月21日

お客様を相手にした商売にカスタマーサービスは必要不可欠。この連載では顧客対応に関する“アレコレ”を「カスタマーサービスのお悩み相談室」の個性豊かな面々が解説していきます。

今回ご紹介するのは、持ち前の愛嬌でどんな相手でも懐に入り込んでしまう飯塚直人(52)が担当した【旅客運送業における危険運転クレーム】模範対応編です。

人の怒りのボルテージは最大でも15分ほどしか続かない

飯塚直人(52)

こんにちは、飯塚です。

前回の続き、RMJタクシーの配車センターで起きたケースを考えてみましょう。この事例のお相手は乗客ではなく、一般のドライバー。最初は話の要点がつかめなくても、慎重に耳を傾けるところから始めましょう。

クレーム内容
  • ◆ウインカーを出さずに強引な割込みをされた
  • ◆クラクションを鳴らし注意喚起をしたら当該車両の乗務員に睨みつけられた

 
タクシーの乗客ではなく、一般のドライバーである黒岩さん(37)から苦情の入電を受けたオペレーターの田島さん(48)は、10~15分もの間ひたすら傾聴することで、相手がどのような立場で苦情やクレームをご申告されているのか、また不満を感じたのかを冷静に見極めるよう努めたそうです。その上で、予め用意されたトークスクリプトに基づき、夜中の苦情であったため、マニュアル通り翌朝まで返答を待っていただくようご案内したとのこと。しっかり傾聴することで相手がどのような立場で苦情やクレームをご申告いただいているのかが必ずわかります。


tajima
田島誠

この度は、危険な思いをさせてしまい、誠に申し訳ありませんでした。乗務員を特定し、ドライブレコーダーなどで確認の上、ご申告の内容に間違いがないということであれば、乗務員を厳しく注意・指導させていただきます。

kuroiwa
黒岩悠斗

いま呼び戻せばいいだろう。どうして、ああいう態度をとったのか、本人から聞き取りしてすぐに折り返せ。

tajima
田島誠

大変恐縮ですが、当方のタクシーは翌朝まで稼働しているため、「いますぐ」という対応は難しく……。明日以降、調査をして必ずご連絡させていただきますので、何卒ご理解のほどお願い申し上げます。

kuroiwa
黒岩悠斗

このご時世、いま車がどこにいるかなんて、モニタリングしてるだろ? 連絡して、呼び戻せばいいじゃないか!

tajima
田島誠

申し訳ございません。該当車両や乗務員の特定等にもお時間を要する事案でございます。何卒ご理解ください。必ず調査の上でご連絡いたしますので。

・・・・・・(何度か同様のやりとりを繰り返す)・・・・・・

 

kuroiwa
黒岩悠斗

わかったよ。言い過ぎたよ、ゴメン。あなたが悪いわけじゃないのに、カッとなってしまった。乗務員に厳しく注意しておいてくれればいいから。

tajima
田島誠

ご理解いただき、ありがとうございます。またこの度は、当社ドライバーの危険運転についてご申告いただき、心よりお礼を申し上げます。これからの業務改善に活かしてまいります。


最初は怒っていて頑なに「いますぐ」の対応を求めていた黒岩さん(37)でしたが、しばらくすると冷静さを取り戻し、最終的には翌朝以降の対応で良いとご納得いただき、無事に終話にいたったとのこと。

この事例でもわかるように、どんなに怒っている人であっても10〜15分も話せば必ず落ち着いてきます。人間そんなに長い時間は怒っていられないものです。それまではしっかりと耳を傾け、相手の立場や状況を把握するに努めましょう。意外な相手からのお電話だったとしても、基本の対応は変わりません。最初は何はともあれ「傾聴」が大切です。
 

※この記事はカスタマーサービスの対応例を学ぶために事実を元に構成したフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

 

弁護士 藤本慎司 監修|東京弁護士会所属

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