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ストレスチェック制度の導入2021年8月30日

どのようなビジネスであっても、お客様から苦情やクレームをいただいてしまうことがあります。この連載「苦情・クレーム対応ガイドブック」では、そんなもしもの事態に備えてその対応方法を解説していきます。今回のテーマは、多くの企業が遵守しなければならない「ストレスチェック制度の導入」です。

メンタルヘルスの不調から従業員を守る

制度導入を進める女性

労働安全衛生法の改正に伴い、2015年12月に「ストレスチェック制度」が施行されました。これに伴い、労働者が常時50名以上の事業場においては、年に1回のストレスチェックをすべての労働者※1に対して実施することが義務付けられています。ストレスチェックとは、実施時点のストレスレベルを定量的に判断するための簡単なアンケート検査のこと。ストレスに関するさまざまな質問に労働者が回答し、その内容を集計・分析することで、ストレスの度合いを図ります。
 

※1:契約期間が1年未満、または労働時間が通常の労働者の所定労働時間の4分の3未満の短時間労働者を除きます。

 
近年、仕事のストレスによって従業員がメンタルヘルスに不調をきたす事例が増えています。そうした事態を回避するための取り組みの一環として用意されたのが、このストレスチェック制度。労働者が抱えているストレス度合いからメンタル不調の兆しを探るとともに、必要に応じて適切な対応につなげることを目的としています。
 
なお、労働者が常時50人未満の事業場の場合、ストレスチェックの実施は義務ではありませんが、労働者のメンタル不調を予防するという目的のもと、できるだけ実施することをおすすめします。
 

ストレスチェック制度の実施手順

ストレスチェック制度の実施手順については、以下のようになります。
 

1.導入前の準備

まずは、「メンタルヘルス不調の予防を目的としたストレスチェックを実施する」という方針を提示。続いて、事業場の衛生委員会にて具体的な実施方法を検討します。
 
<検討を要する主な項目>
・対象者は誰か
・いつ実施するのか
・どんな質問票を使うか
・どんな方法でストレスの高い人を選ぶのか
・面接指導の申出は誰にすれば良いのか
・面接指導はどの医師に依頼して実施するのか など
 
なお、質問票は「仕事のストレス要因」「心身のストレス反応」「周囲の反応」の3項目をすべて含めれば事業者が独自に策定することができます。または、国が推奨する57項目の質問票もあるので、そちらを活用することも可能です。
厚生労働省の「職業性ストレス簡易調査票」はこちら
 
すべての内容が決まったら、社内規程として労働者へ周知します。
 

2.ストレスチェックの実施

対象者に質問票を配布し、記入してもらいます。記入が終わった質問票は、医師などの実施者や補助をする実施事務従事者が必ず回収しましょう。第三者や人事権を持つ職員が、記入の終わった質問票の内容を閲覧することはできないので、くれぐれもご注意ください。なお、ストレスチェックはセキュリティーが守られる環境が用意できれば、オンラインシステムなどでの実施も可能です。
 
回収した質問票の内容をもとに、医師などの実施者が対象者それぞれのストレスレベルを診断し、医師の面接指導が必要な者を選びます。
 

3.結果の通達

ストレスチェックの結果は、検査を受けた各対象者へ直接通知されます。通知後、ストレスチェックで「医師による面接指導が必要」と診断された労働者から、面接指導の申出※2があった場合、企業は速やかに医師に依頼して指導を実施※3しましょう。
 

※2:申出は結果が通知されてから1ヶ月以内に行う必要があります。

※3:面接指導は申出があってから1ヶ月以内に行う必要があります。

 
この他、面接指導を実施した医師に意見を仰ぎ、その内容を踏まえた上で労働時間の短縮など必要な措置を実施・適用します。
 

プライバシーの取り扱いにはくれぐれも注意

ストレスチェックの結果は、従業員のプライバシーに関わる個人情報のため、取り扱いには十分に注意する必要があります。面接指導の申し出などによって知り得た情報は適切に管理するとともに、社内で共有する場合にも必要最小限の範囲に留めましょう。
 
また、ストレスチェックや面接指導の結果を理由に、企業が従業員に不利益を与える行為も禁止されています。不当な動機・理由による配置転換や役職の変更、雇い止めなど明らかに不当と思われる措置を施すのは、決してあってはなりません。
 
従業員のメンタルヘルス管理は、企業が取り組むべき重要な課題の一つ。クレーム対応を伴う組織においては、とりわけ不可欠と言っても過言ではありません。ストレスチェック制度を最大限に活用し、従業員のメンタル不調を未然に防ぎましょう。
 
厚生労働省による「ストレスチェック実施プログラム」はこちら

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