クレームに至る顧客の心理2023年3月20日
お客様の「期待」を裏切ることが、クレームを引き起こす
突然ですが、想像してみてください。とある定食屋を訪れたAさん。メニューに書かれている「ボリューム満点! ミックスフライ定食」の文字が目に飛び込んできました。早速注文したところ、運ばれてきた定食は想像していたよりもボリューム控えめ。Aさんは店員に、「これがボリューム満点なんて嘘じゃないか。騙された! 」と詰め寄ります。しかし店員は「十分な量だと思いますけど」と困惑顔…。
この時、Aさんはどのような心理だったのでしょうか。それは、期待を裏切られたという残念な気持ちです。提供されるサービスに対して、ユーザーが予め持っている期待のことを「事前期待」と言いますが、この事前期待と事後結果のギャップが大きいほどお客様の不満や落胆が大きくなり、クレームという行動を引き起こしてしまうのです。
「4つの種類」からなる事前期待
事前期待には、大きく分けて以下の4種類があります。
共通的な事前期待
共通的な事前期待とは、「多くのお客様が共通して持っている事前期待」のこと。飲食店であれば、「席まで案内してもらえるだろう」「注文を取りに来てくれるだろう」など、お客様がサービスに対して「当たり前に備わっていてほしい」と考えている事柄が該当します。
個別的な事前期待
個別的な事前期待とは、「お客様一人ひとりで異なる事前期待」のこと。「窓際の席に座りたい」「豊富なメニューから注文を選びたい」「料理を早く出してほしい」など、期待するポイントは人それぞれ。お客様が「自分にとってそうであったら嬉しい」と考えているサービスことを指します。
状況で変化する事前期待
状況で変化する事前期待とは、「お客様の都合によって変わる事前期待」のこと。普段は窓際の席を希望するお客様でも、雨の日や日差しが強い日には奥まった席に通してほしい、ということもあるでしょう。このように、サービスに対して「臨機応変な対応」を求めるような期待を指します。
潜在的な事前期待
潜在的な事前期待とは、「お客様自身も気づいていないような事前期待」のこと。「注文した料理が品切れだったが、お詫びとして一品追加してもらえた」などのように、「想定外のサービスを受けて感動した」というような事象が当てはまります。
クレームは「期待」の裏返し
顧客の期待に応えることは、カスタマーサービスの基本。その期待を裏切ることは、会社としての信用、そしてお客様との信頼関係に関わります。だからこそ、事前期待をいかに的確に把握し、実践できるかが大事。「顧客が自社に対してどのようなサービスを求めているのか」を知ることができれば、クレームを未然に防げるだけでなく、顧客満足度を上げることもできますよ。すべての期待に応えることは難しいですが、まずは「共通的な事前期待」や「個別的な事前期待」に応えることを心がけるとよいでしょう。
言うなればクレームは、期待の裏返し。内容によって学ぶべきことも多くあるはずです。ですので、クレームもナレッジの一つと捉え、さらなるサービスレベルの向上に活かしてください。
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