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事例に学ぶカスハラ対応策

苦情・クレーム対応においては、お客様からの正当な苦情と不当な要求を、正確に見極めて対応することが求められます。現実には対応の在り方に頭を悩ませ、お困りの方も多いのではないでしょうか。この連載『事例に学ぶカスハラ対応策』では、みなさまから寄せられたカスハラエピソードを元に、カスタマ―ハラスメントへの適切な対応の在り方をご紹介します。

カスハラにはNO!だけど、苦情・クレームは正確にキャッチ

カスタマ―ハラスメントは、「お客様による、従業員への迷惑行為/嫌がらせ行為」です。ほぼすべてのケースで「(企業や店舗の対応に不満があったから)苦情・クレームを申し立てている」という構図で発生します。
 
本来、「お客様からの苦情・クレーム」は、業務改善や新たな商品・サービス開発につながる、貴重なお声です。苦情・クレームへの対応は、少なからずストレスを伴うものですが、お客様の主張や要求の「正当な部分」については企業、ひいては個々の従業員が真摯に受け止め、適切な対応や回答を、しっかりと行う必要があります。
 
しかし一方で、お客様に何らかのご迷惑をおかけしてしまった事実があるとしても、そのお客様のカスタマ―ハラスメント行為が正当化されることは、決してありません。お客様の要求の手段・態様が社会通念上不相当なもので、従業員の就業環境が害されるカスタマーハラスメント行為そのものは、どのような理由があってもキッパリとお断りすることが必要です。

 

カスハラ対応の大前提

適切な対策を考える上では、まずは以下の大前提を意識しておくことが重要です。

  • 対話そのものをこちらからシャットアウトしようとしない
    (苦情・クレーム自体には正当な内容が含まれるのに、お客様が冷静さを失いカスタマーハラスメント行為にいたるケースもあるため)
  • 苦情・クレームのヒアリングはしっかりと行い、「企業(店舗)として事実確認と見解を踏まえて対応する」という姿勢を示す
    (客観的な事実確認を基にした、組織としての正式な対応を行うことが唯一の正解のため)

上記のような対応を行ってしまうと、正当な苦情を申し出たお客様が不利益を被ってしまう結果となる可能性があることはもちろん、先方に悪意があるケースでは、逆に企業や従業員のみなさんが不利な立場となるシナリオに乗せられてしまうリスクも発生します。正当な苦情と不当な要求を冷静に見極められるように努めましょう。
 


 

冷静に言動や行動を分析しよう

カスハラにあたる9つの迷惑行為の型を正しく理解し、慎重な判断を心掛けましょう。カスハラに該当する迷惑行為や理不尽な苦情、過剰な要求をする悪質クレーマーについては、彼らの言動や行動によくみられる傾向から4つの思考タイプに分け、効果的な対応技術を紹介していきます。
 
どのようなタイプなのかを見極めるのは難しく、絶対的な正解はありません。事例ごとの基本的なスタンスを参考に、冷静に分析してみてください。

カスハラに該当する迷惑行為の種類

①「時間拘束型」

要求が通るまで店内に居座るなど、長時間にわたって顧客が従業員を拘束するカスハラのこと

②「リピート型」

一定の企業回答を伝えているにも関わらず、長期にわたって理不尽な要求をひたすら繰り返すカスハラのこと

③「暴言型」

侮辱的な発言や差別・人格否定・名誉毀損につながる発言を大声で怒鳴りちらすカスハラのこと

④「暴力型」

従業員に対して文字通り、殴る・蹴る・叩く・物を投げつけるなど暴力を振るうカスハラのこと

⑤「威嚇・脅迫型」

従業員に対して命の危険を感じるような不安や、恐怖を与えるような言動をするカスハラのこと

⑥「権威型」

正当な理由なく社会的地位を振りかざして、特別扱いなどの要求を通そうとするカスハラのこと

⑦「店舗外拘束型」

従業員に脅迫的な言動や態度で迫り、職場外である自宅への訪問や喫茶店などでの面談を要求するカスハラのこと

⑧「SNS/インターネット上での誹謗中傷型」

各種SNSやブログ、ネット掲示板などを使って、悪意ある書き込みをする等のカスハラのこと

⑨「セクシャルハラスメント型」

身体への接触、待ち伏せ、つきまとい、連絡先を知りたがるなど、性的な迷惑行為を伴うカスハラのこと

思考別クレーマーのタイプ

①マウント思考タイプ

独善的な常識観に基づき、揚げ足取りのような要求をしてくるタイプ

 

このタイプに分類されるクレーマー
・世直し説教型
・ストレス発散型

②特権思考タイプ

虚偽の申告等によって金品やサービスなどの不当な利益を得ようとするタイプ

 

このタイプに分類されるクレーマー
・常習的悪質型
・自分勝手強要型

③執着思考タイプ

精神的な問題により長時間の従属的なコミュニケーションを強いるタイプ

 

このタイプに分類されるクレーマー
・恋愛ストーカー型
・怨恨による攻撃型
・精神的な問題型

④誤解思考タイプ

自分の思い込みや勘違いに基づいて不当な要求をしてくるタイプ

 

このタイプに分類されるクレーマー
・思い込み型
・勘違い型

現場でがんばるみなさんが、毅然とした態度でカスハラを「上手にお断り」できるようになるための事例集です。今まさにカスハラが起きている現場での対応技術の学びや、一貫性のある組織対応へと切り替えることも視野に入れた企業の体制整備にお役立てください。

※この記事はカスタマーサービスの対応例を学ぶために事実を元に構成したフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません。