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Case14:CS単独の判断はNG。必ず本社へ情報共有すること2022年5月23日
今回ご紹介するのは、一見近寄りがたい風貌ながら話すと人を虜にしてしまう大杉毅(50)が担当した【大手アパレルメーカーにおける過剰要求クレーム】模範解答編です。
自然な会話の流れを重視したマニュアルづくりを
こんにちは、大杉です。
前回に引き続き、複数店舗を有する大手アパレルメーカー、クレア・グレースのCSで起こった事例について考えていきましょう。コートの取り置き延長にまつわるクレームをきっかけに、さまざまな要求を過剰に訴える戸部昭子さん(57)。よくよく調べると、戸部さんは現場で有名な問題クレーマーでした。
クレーム内容
- ◆コートの取り置き延長をお願いしたら断られた。
- ◆別店舗の女性スタッフがムスッとしていてとっつきにくい。
- ◆男性スタッフは接客しないでほしい。
今回のケースで言うと、まず取り置きの延長については、1週間を超える取り置きはできないという統一ルールがあるため、それを誠実に説明してご理解いただくしか方法はありません。そして、それ以外のクレームに関しては、現場からヒアリングした内容も合わせてCSから本社に情報を共有し、対応方針を決めてもらいましょう。
間違ってもCSの独断で対応を決めるのはNG。例えばCSから各店舗のスタッフへ連絡し、「このような対応をしてください」などと指示することはあってはなりません。各店舗への問い合わせを集約し、取りまとめるのがCSのミッション。現場・本社の双方と連携し、業務がスムーズに進むよう調整するに留めましょう。
先日お問い合わせいただいた取り置き延長の件ですが、本社に確認しましたところ、やはり対応できかねるということでした。ご要望に沿えず申し訳ございません。
ずいぶん冷たいのね。私、そちらのお店いろいろ利用しているのよ。アイテムもたくさん持っているし、お店自体は嫌いじゃない。だからわざわざ延長をお願いしているんじゃないの。
いつもご利用ありがとうございます。こちらとしても心苦しいのですが、当社の規定となっておりますのでご了承いただけますと幸いです。
あのね、中には贔屓にしている女性スタッフもいるのよ。その人はいつも頼りにしているの。話も聞いてくれるしね。でも店舗によっては接客が本当にひどいわね。特に男性スタッフときたら……。
そちらの件につきましては、教育が至らない点がありましたこと、重ねてお詫び申し上げます。ご指摘いただいた点について、当社で改めて指導を徹底してまいります。ただ、当社の方針として接客スタッフの性別を選ぶことはできかねますので、何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。
お問い合わせに関しての回答は以上となります。今後のご愛顧も何卒よろしくお願いいたします。
取り置きの延長に端を発した今回の過剰要求クレーム。都成さん(35)が一つひとつの問い合わせに対し、本社や現場と連携しながら会社の方針として丁寧かつ明確に対応ができたのは素晴らしかったのではないでしょうか。ましてや戸部さん(57)は現場で問題クレーマーとされている人物。最後まで毅然とした態度で向き合うことにより、さらなる要求を退けることができたのもポイントが高いですよ。
と言いつつ、こういったタイプのお客様は、時間をあけて同じようなクレームを繰り返す傾向があります。そのような場合でも、回答の内容を変えることなく粛々と対応にあたればOKです。
弁護士 藤本慎司 監修|東京弁護士会所属
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難易度の高いクレームが増えてきて困っている
スタッフによるスキル差が目立ちはじめた
……など
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