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過剰な怒りが発生するメカニズム2023年6月12日

どのようなビジネスであっても、お客様から苦情やクレームをいただいてしまうことがあります。この連載「苦情・クレーム対応ガイドブック」では、そんなもしもの事態に備えてその対応方法を解説していきます。今回のテーマは、クレーマー心理の理解に役立つ「過剰な怒りが発生するメカニズム」です。

どうして「怒り」の感情は起こるのか?

思考回路

クレーム対応の現場では、お客様から過剰な怒りを一方的にぶつけられ、萎縮したり辛い思いをしたりすることも多いのではないでしょうか。怒りの感情は、他の感情(喜び、安心、満足など)と比べてエネルギーが強く、暴走しがちな特性を持っています。「ついカッとなってしまった」というように、非常にコントロールが難しく、瞬時に強力な攻撃性を発揮することがあります。
 
一見すると負のイメージが強い怒りの感情ですが、実は決して悪い感情ではありません。自分の身を守るための防衛感情とも言われるほど、誰にでも備わっているごく自然な感情なのです。では、どのような時に怒りの感情は引き起こされるのでしょうか。そのメカニズムを知れば、クレーム対応に活かせるかもしれません。
 
過剰な怒りが発生するメカニズムを知るには、以下のことを理解する必要があります。
 

怒りは「二次感情」である

人間にはさまざまな感情がありますが、物事に対して最初に抱きやすいのは主に不安、悲しみ、落胆、不満といった、ネガティブな感情だと言われています。これらは「一次感情」と呼ばれ、怒りはそうした一次感情の次に生じる「二次感情」と考えられています。
 
全く何もないところから、唐突に怒りの感情が湧き上がることはありません。その前段に何かしらの理由で「落胆した」「悲しい思いをした」などのステップが必ずあるのです。そして、一次感情が大きいほど、その反動で怒りのエネルギーも大きくなる傾向にあります。
 

「べき」が裏切られた時に怒りが起きる

怒りの感情は、自分の中にある信念や譲れない価値観に反したことが起きた時に生じます。例えば、お客様が「店員は丁寧な接客をするべきである」という考えを持っていた場合、その通りになっていないと感じれば、怒りの感情が湧いてくるわけです。この絶対的な信念のことを「コア・ビリーフ」と言います。
 
コア・ビリーフには正解・不正解がありません。どのような価値観でも、その人にとってはそれが正解であり、否定できるものではないからです。また「丁寧な接客」と言っても、どの程度の丁寧さを求めているかはやはり人それぞれなので、より複雑な構造になっていると言えます。
 

価値観の違いを理解し、一次感情に寄り添うことが大事

過剰な怒りを一方的にぶつけられると、あまりの勢いに一次感情の存在を忘れてしまいがちですが、怒りの根底には必ず一次感情があります。特にクレームにおいては、一次感情を引き起こしたきっかけが自社の不手際である可能性もあるため、慎重に対応しなければなりません。怒りのエネルギーを前に怯むことなく、落ち着いて事実確認を重ね、相手の一次感情に目を向けるよう心がけましょう。
 
また、人によって価値観が違うからこそ、どちらかが歩み寄る姿勢を持たない限り、話し合いは解決しません。価値観は時代や環境によっても変わりますし、世代によっても異なります。あなた自身の価値観も、周囲と全く同じとは言い切れませんよね?そうした違いを意識しながら、双方にとって納得のいく落としどころを見つけていきましょう。
 

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