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現在志向バイアスとは、今すぐ手に入る利益（価値）と将来的に得られる利益（価値）を比べたときに、前者を優先してしまう心理特性のこと。例えば、「今すぐ1万円もらうか1年後に10万円もらうか、どちらかを選んでください」と言われたとしましょう。1年後に10万円をもらった方が得なのは明らかですが、少なくてもいいから今すぐ1万円もらいたい、という気持ちもまったくないとは言い切れないのではありませんか？それが、現在志向バイアスです。

長期的な損得を考えず、目先の利益を選んでしまう経験は、誰しも少なからずあるでしょう。『セール開催中！』の文字を見るとついつい買い過ぎてしまう、店頭で勧められた商品を後先考えずに衝動買い……そうした行動の元になっているのも、この現在志向バイアス。それだけ人間の志向には、遠い未来の利益よりも目の前の利益を過大に評価してしまうクセがあるということです。

こうした心理特性をビジネスに利用すること自体は何の問題もありません。とは言え、後々になって返品や返金の要求、さらにはクレームに繋がる可能性もあるので注意が必要。近年は、『はじめの1ヶ月は無料期間』などと掲げている定額制サービスの解約トラブルが急増しており、国民生活センターが注意喚起を促しています。そうした事態を回避するためにも、過剰に購買心理を煽るような表現や仕掛けには、くれぐれも気をつけましょう。