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Case7:決して否定はせず、確認できる事実のみをお伝えするに限る2020年11月30日

お客様を相手にした商売にカスタマーサービスは必要不可欠。この連載では顧客対応に関する“アレコレ”を「カスタマーサービスのお悩み相談室」の個性豊かな面々が解説していきます。

今回ご紹介するのは、いつも冷静沈着な室内随一の頭脳派である青山健一(47)が担当した【製造業における修理対応不備クレーム】模範対応編です。

不明確な憶測でモノは言わないのが得策

青山健一(47)

こんにちは、青山です。

前回に続き、デジタル備品を製造・販売するデジキッドの修理センターでオペレーターの有村優希さん(37)が対応にあたっている事例を考えていきましょう。お預かりした修理品に同梱した敷パッドのゆくえが原因でクレームに発展してしまっていました。

クレーム内容
  • ◆修理品のUSB充電器と一緒に焦げた敷きパッドを同梱して修理センターに送った
    (=だから補償してほしい)

 
まずは修理センターでの修理品お預かり体制について確認する必要があります。デジキッドの修理窓口では通常、修理品のほかにお客様が緩衝材としてタオルや新聞紙をご使用になるケース等までを想定し、同梱物すべてをもれなく確認・保管することを徹底しているとのこと。

また直接の開梱担当者にも、受け取り当日の業務状況をヒアリングし、20cm四方の敷きパッドは同梱物として確認できていないことが明らかになっています。上記の運用体制から見落としや破棄する可能性も想定できないと言えるでしょう。


arimura
有村優希

大変お待たせして申し訳ありません。調査にお時間いただきまして、ありがとうございます。

saito
斎藤洋介

で、どうだったんですか?

arimura
有村優希

再度確認させていただきましたが、お客様よりご送付いただいた修理品に同梱されていた内容物としては、USB充電器本体および、今回の不具合発生時の状況をご説明くださったメモのみという状況でございます。ご申告いただいている、20cm四方の敷パッドについては含まれておりませんでした。

saito
斎藤洋介

そんなはずはない。管理が甘いんじゃないんですか。

arimura
有村優希

誠に恐縮ですが、弊社修理センターでは修理品をお預かりする際は、修理品のほかにお客様が緩衝材として使用されたタオルや新聞紙まで、そのすべてをもれなく確認し、保管するという徹底した管理体制を取っております。そのため弊社でお預かりした後に、不要物と認識して、誤って廃棄もしくは紛失した可能性は想定できないという見解でございます。

saito
斎藤洋介

なら、私が嘘をついてると言うんですか!

arimura
有村優希

いえ、決してそのようなことは申しておりません。弊社として申し上げられるのは、社内での調査の結果として、お預かりした配送物にご指摘の内容物が含まれていなかったという点のみでございます。

saito
斎藤洋介

じゃあ配送途中でなくなったってことですか?

arimura
有村優希

その点については何も申し上げられません。弊社に届くまでの、弊社が知り得ない過程については、何も申し上げられることがなく、誠に心苦しいのですが……、弊社からお伝えできるのは、修理センターではお預かりしていないという事実のみでございます。

弊社が修理センター窓口にて配送物をお預かりするまでの過程での、何らかの遺失があったかの確認や、遺失の原因についても、何らかの見解をお示しする知見がなく、またお示しすべき立場にもないことをご理解くださいませ。

 


修理品と一緒に敷パッドを同梱したというお客様の主張についてはまったく否定せず、弊社に到着した際には敷パッドはお預かりしていないという事実のみをお伝えすることに徹して対応。一定の反論はあったものの、大変残念な気持ちを強調し、お詫びを繰り返すことで無事対応を終了できたそうです。

このケースのポイントは不明確なことは言及しないという点です。確証が持てない事象においては否定も肯定もするべきではありません。確かな事実にのみフォーカスして対処しましょう。
 

※この記事はカスタマーサービスの対応例を学ぶために事実を元に構成したフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

 

弁護士 藤本慎司 監修|東京弁護士会所属

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