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Case15:メモを取りながら順を追って時系列を把握し、お客様の要求を整理2022年6月27日

お客様を相手にした商売にカスタマーサービスは必要不可欠。この連載では顧客対応に関する“アレコレ”を「カスタマーサービスのお悩み相談室」の個性豊かな面々が解説していきます。

今回ご紹介するのは、当相談室の室長である四谷信司(58)が自ら担当した【レストランにおける自己顕示欲クレーム】模範解答編です。

ただ話を聞くのではなく、クレームの“仕分け”をしよう

四谷信司(58)

こんにちは、四谷です。

前回に引き続き、フレンチレストランのビストロ・ドゥ・パラディで起こった事例について解説します。一つの出来事に端を発し、とりとめのないクレームをいくつも並べ立てられるという今回のケース。問題は、クレームの数が多いことと、それによって結局お客様が何に怒っているのか、何を謝罪すればいいのか掴めなくなってしまった点にあります。

クレーム内容
  • ◆いつも頼んでいるワインが在庫切れだった。
  • ◆入店時に待たされた。
  • ◆前回の来店時には料理を出すタイミングが遅くイライラした。
  • ◆その前の来店時はスタッフの接客態度が悪かった。
  • ◆床が汚れていて不愉快。
  • ◆駅から店が遠く、日曜日はいつも混んでいる。 など

 
常連客の中川雄二郎さん(62)が主張するクレームについて改めて振り返ると、数が多いだけでなく時系列もバラバラ。中には店側に全く否がないものまで混ざっています。これらを一気にまくしたてられたのですから、アルバイトの高見駿さん(23)もさぞ混乱したことでしょう。
 
こうした場合は、メモを取るなどしてクレームの内容を整理しながら話を聞くことをオススメします。“メモを記入しているアピール”をしながら、こちらがペースを握るのです。文句を言われた場合は、「せっかくお話いただいた内容を、記憶も理解もできませんと却ってご迷惑をおかけしますので」などとお伝えされると良いでしょう。
 


 

takami
高見駿

申し訳ありませんが、お客様の話を漏らさず伺うため、メモを取らせていただいてもよろしいでしょうか?まずはワインの件でしたね?

nakagawa
中川雄二郎

あぁ、そうだ。客がよく注文するワインの在庫を切らすなんて、接客業としておかしいと言っているんだよ。入店のときだって何分待ったと思っているんだ。

takami
高見駿

それらの点につきまして、大変失礼いたしました。今後はこのようなことがないよう、できるだけ気をつけさせていただきます。

nakagawa
中川雄二郎

料理を出すタイミングも遅いぞ。前に来た時は……。

takami
高見駿

こちらは、前回のご来店時のお話ですね。その際は大変申し訳ございませんでした。今後はお待たせしないよう努めます。その次におっしゃっていたこともお聞かせ願いますか?

nakagawa
中川雄二郎

あぁ、あとはあれだ……。

 

・・・・・・(以下、繰り返し、最後に店長と共に謝罪)・・・・・・

 

shimamura
島村智司
takami
高見駿

最後に重ねまして、お詫び申し上げます。数々の貴重なアドバイスをありがとうございました。中川様からいただきました貴重なアドバイスを、スタッフ一同でも共有いたしまして、より多くの皆様にご愛顧いただけるお店にしていきたいと思います。引き続きご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

 


ポイントは、「最初に〜があったんですよね」「次に、~があったという理解でよろしいでしょうか」など、順を追って確認を入れていくこと。そうすることで正しく時系列を把握することができます。また、最後に問題を復唱し「貴重なアドバイスをありがとうございます」と伝えるのも重要なテクニック。実際、たくさんのクレームを訴えていた中川さんですが、話を聞き終えた高見さんが感謝の気持ちを示したことで、納得して帰っていったそうです。
 
メモを取ることで時系列を整理しつつ、謝罪すべきクレームと具体的な対応をすべきクレームに仕分けし、それぞれ適切に対応していくことが大切です。また店長の島村智司さん(55)と共に謝罪対応をしたことも、“お店全体として誠意ある対応している”ということを示すことができており、良かったポイントと言えるでしょう。
 

※この記事はカスタマーサービスの対応例を学ぶために事実を元に構成したフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

 

弁護士 藤本慎司 監修|東京弁護士会所属

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