ホーム › 連載・コラム ›  Case6:実害との相関関係が証明できないものを賠償する責任はない

Case6:実害との相関関係が証明できないものを賠償する責任はない2020年11月9日

お客様を相手にした商売にカスタマーサービスは必要不可欠。この連載では顧客対応に関する“アレコレ”を「カスタマーサービスのお悩み相談室」の個性豊かな面々が解説していきます。

今回ご紹介するのは、一見近寄りがたい風貌ながら話すと人を虜にしてしまう大杉毅(50)が担当した【食品製造業における異物混入クレーム】模範対応編です。

顧客満足(CS)から危機管理(RM)へ切り替え

大杉毅(50)

こんにちは、大杉です。

前回に引き続き、アスカ製菓で起きた異物混入クレーム、あらため悪質クレーマーとの対峙の仕方を見ていきましょう。こうしたクレーマーには法律が強い味方になってくれます。今回のケースでは法的相談を顧問弁護士の岡崎元(42)と行い、会社としての方針を決定。毅然たる態度を持って対応にあたりました。

クレーム内容
  • ◆異物混入のせいで同系統の食品が食べられなくなった
  • ◆飲食コンサルの仕事に支障がでている
  • ◆数百万円規模のコンサル契約が飛んだ

 

顧問弁護士の見解
  • ◆異物混入に対しては謝罪が必要
     → 賠償が必要かはケースバイケースで、今回のケースでは賠償というレベルの話ではない
  • ◆何についての賠償なのか不明瞭
     → トラウマから食品を食べられないということの医学的根拠が得られない
  • ◆あることないことSNSに書いて拡散して商売をできなくさせるとして金品を要求することは恐喝である
     → これ以上、何か要求してくるようであれば警察に相談

 
上記の顧問弁護士からの法的アドバイスをもとに、賠償はしないという前提で、解決のために面談に際しての手土産および円満解決のために商品券の用意が望ましく、法律的判断を誤らないために顧問弁護士にも面談に同席してもらうとの判断にいたったそうです。


watanabe
渡邊巧

本日はお時間いただき、ありがとうございます。

okazaki
岡崎元

顧問弁護士の岡崎です。法律面でのサポートとして同席させていただきます。

yamashita
山下智史

で、どうしてくれるの?

watanabe
渡邊巧

誠に恐れ入りますが、弊社としては、お申し出いただいた症状について異物混入との関連性は認めがたいという見解でございます。ただし、大きなご迷惑をおかけしたことは事実であり、大変申し訳なく思っております。その点を真摯に受け止め、ご提示できる最大限として、お詫びの気持ちとしての商品券をお納めさせていただくことで、ご容赦いただけますようお願い申し上げます。

yamashita
山下智史

実際に仕事できなくて困ってるんだから、納得できるわけないでしょ。もう一度、社内で検討してきてよ。

・・・・・・(難色を示され、話し合いが平行線のため、後日に日を改める)・・・・・・

 

watanabe
渡邊巧

何度もお時間いただき、恐縮です。社内にて再検討させていただきましたが、弊社としましては先日のご提案が最大限のお気持ちであります。どうかご了承いただけますようお願い申し上げます。

yamashita
山下智史

もう、わかったよ。

okazaki
岡崎元

ではこちらの確認書にご署名と押印をいただけますでしょうか。これをもって本事案は和解とします。


不当要求は企業として毅然とした対応をすべきとの判断で、初期のご提案に譲歩はないことをお伝えすると、最終的には渋々ではありますが、ご了解をいただけ、なんとか解決にいたったそうです。弁護士の同席のもと「確認書」に署名と押印をしてもらうことも重要です。再度同じ事案でもめないためのリスクヘッジとして、和解したことの証明になります。
 

※この記事はカスタマーサービスの対応例を学ぶために事実を元に構成したフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

 

弁護士 藤本慎司 監修|東京弁護士会所属

〒105-0003
東京都港区西新橋1-21-8 弁護士ビル410号
03-5251-3786


日本アイラックは理想の『お客様相談室』構築・運営を全力サポートします。
選任担当者がおらず十分な対応ができていない
難易度の高いクレームが増えてきて困っている
スタッフによるスキル差が目立ちはじめた

……など

苦情・クレーム対応のことならお気軽にご相談ください。

※「クレームナビ」を見たとお伝えいただくとスムーズです。

03-6625-5380

お問い合わせ時間 9:30〜17:30(平日のみ)

お問い合わせ

関連記事