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Case13:ユーザーが置かれている状況に思いを巡らせ、寄り添う姿勢が大事2022年3月7日
今回ご紹介するのは、いつも冷静沈着な室内随一の頭脳派である青山健一(47)が担当した【メーカーにおける製品不良クレーム】模範解答編です。
自然な会話の流れを重視したマニュアルづくりを
こんにちは、青山です。
前回に続き、美容家電を販売しているメーカーのアドライフ・カンパニーで起こった事例について考えていきましょう。製品不良の問い合わせに対し、お客様対応係の里見香菜さん(27)が返信したメールの内容で、二重クレームに発展してしまったケースです。
クレーム内容
- ◆通販で加湿器を購入したが、ミストが出ない。
- ◆「まずは説明書を確認して」と言われたが、それくらい当然確認している。
- ◆「怒っているみたいだから仕方なく交換する」という対応も不愉快。
まずはアドライフ・カンパニーの問い合わせ対応について、今一度確認する必要があるでしょう。もともとアドライフ・カンパニーでは、製品交換のお問い合わせがあった場合、取扱説明書の確認を促すよう、マニュアルに記載されているとのこと。だからこそ、里見さんはそれに従ったのです。
にもかかわらず、結果として加藤彰子さん(40)のお怒りを買うことになってしまった。このことから、そもそものマニュアルに問題があったと考えられます。今回のケースで言えば、「まずは説明書を確認して」だけで終わらせるのではなく、「説明書に対処法が記載されているが、もう試したか」まで質問できていれば、二重クレームは防げたかもしれません。例えばこんなふうに。
・・・・・・<理想の対応例>・・・・・・
ネット通販を利用してそちらのメーカーの加湿器を購入したのですが、ミストが出ません。初期不良だと思うので交換をお願いします。
お問い合わせありがとうございます。取扱説明書にはミストが出ない場合の対処法がいくつか記載しておりますが、そちらはお試しいただいていましたでしょうか?
もちろん試しました。それでもダメでした。
お手数をお掛けいたしまして、申し訳ございませんでした。では不良品の疑いもございますので、一度製品を確認した上で交換させていただけますでしょうか?送付先をお伝えいたします。
もともとのマニュアルが大きく間違っていたとは言い切れません。しかしながら、ユーザーが置かれている状況に思いを巡らせ、寄り添うかたちで対応することにより、防げるクレームはたくさんあります。今回のケースだと、「まずは確認して」という返信があたかも突き放したように受け止められてしまったのが原因だったと分析できます。
また、交換を申し出るタイミングも少々唐突だったかもしれません。ユーザーがスムーズに納得できるよう、自然な会話の流れを重視したマニュアルづくりが大切です。
弁護士 藤本慎司 監修|東京弁護士会所属
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