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初動対応における効果的なヒアリング術2024年10月7日

どのようなビジネスであっても、お客様から苦情やクレームをいただいてしまうことがあります。この連載「苦情・クレーム対応ガイドブック」では、そんなもしもの事態に備えてその対応方法を解説していきます。今回のテーマは、その後の対応に差がつく「初動対応における効果的なヒアリング術」です。

初動対応としての「ヒアリング」の重要性

お客様からの苦情・クレームは、自社の提供する商品やサービスが顧客の期待に沿わないときに発生します。「購入した商品に不具合があった」「店員の態度が気に食わない」など、お客様は何かしらマイナスの感情を抱えている状態です。だからこそクレーム対応は初動が肝心。対応が遅れるとお客様のマイナス感情を加速させるだけでなく、さらなるクレームに発展しかねません。
 
苦情・クレームの初動対応で大切なのは、5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)に沿ったヒアリングです。お客様にどのようなことが起こり、何に対して不満を感じ、何を望んでいるのかを、客観的に理解できる「ストーリー」として把握するのが目的です。これによって適切な判断ができるようになり、その後の対応の流れも大きく左右します。問題の早期解決を図るためにも、初動の段階で十分なヒアリングを実践しましょう。
 
初動対応における効果的なヒアリングの流れとしては、以下の通りです。
 

STEP1 ヒアリングに適切な場所へ誘導する

落ち着いてヒアリングを行うため、まずはほかのお客様の目に止まる場所から移動しましょう。「お話を詳しく伺いますので、どうぞこちらへ」などと、営業に支障の出ない静かな場所へ誘導して体制を整えます。
 

STEP2 お客様の主張に沿ってメモを取る

「お話を正確に把握するため、メモを取らせていただきます」などと前置きして、お客様の訴えをメモに書き留めましょう。書き方は箇条書きで構いません。5W1Hに沿って質問をしつつ、「この段階で◯◯だった、という理解で合っていますでしょうか」などと随時認識をすり合わせながらヒアリングを進めていきます。
 

もし、お客様の主張に明らかな虚偽や矛盾、意味不明の飛躍等があれば、「ストーリーとして破綻している」ので、そのままではお預かりできません。その場合は、「ここの部分がうまく理解できていないのですが…」といった形で、お客様に質問し、修正していく必要があります。
 
一方で、一部に真偽が疑わしい証言があったとしても、その場で虚偽を立証できるものでなく、一応ストーリーとして成立している限りは「お客様からはそう見えていた」お話として、そのまま記録しましょう。(後日の事実調査で、証言の矛盾が明らかになる場合もあります)
 
ここでは他の人が読んだ時に、一貫した「ストーリー」として、お客様に何が発生し、どのような被害が発生したのかが理解できる内容であればOKです。

 

STEP3 主張の意図や根拠を確認する

一通りヒアリングを終えたら、あらためてメモを見返してお客様の主張を整理し、自分の言葉でまとめてお客様にお伝えした上で、「こういうお話と理解してよろしいでしょうか」と確認し、合意を得られればヒアリング完了です。
 
また、事案の経緯である「ストーリー」と共に、何らかの要求が付随するはずですが、曖昧な要求や、金品の要求については、その意図や根拠についても明確にしっかりと確認する必要があります。
 

入念なヒアリングが適切な対応につながる

以上のステップを実践することで、次のような効果が得られます。

  1. 1.相手の視点から「何が起きて、何が問題なのか」を正確に把握できる。
  2. 2.お客様の主張にきちんと耳を傾ける誠実な企業姿勢をアピールできる。
  3. 3.「主張内容を精査し、適切な対応を行う(無理筋の要求は通らない)」というけん制になる。

一見すると理不尽な苦情・クレームでも、お客様の立場に立ってお話を伺うことで、自社の不手際が見えてくることもあります。双方が納得できる対応を模索するうえでも、丁寧なヒアリングは不可欠と言えるでしょう。
 
なお、ヒアリング後の事実調査については、商品の実物やレシートといった証拠となるものをできるだけ収集することが大切です。お客様の主張と矛盾する点があれば、再度のヒアリングを実施。場合によっては「ご指摘の事実は確認できませんでした」として、対応をお断りすることもあり得ます。
 
事実調査の結果、またそれを踏まえた企業の対応方針にお客様が納得されない場合は、その不満も真摯に受け止めながら妥当な解決策を提示しましょう。それでも無理な要求を続けるようなら「ご案内した以上の対応はできかねます」などと、毅然とした姿勢で対応を。そのためにも、初動対応におけるヒアリングは入念に行いましょう。
 

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