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Case4:メーカーは15年以上前の製品に対して損害賠償責任を負うべきか?2020年9月21日
今回ご紹介するのは、持ち前の愛嬌でどんな相手でも懐に入り込んでしまう飯塚直人(52)が担当した【製造業における製品の賠償責任クレーム】トラブル発生編です。
賠償責任に関しては弁護士の見解も確認
はじめまして、この度、当相談室に配属になりました、飯塚と申します。
早速、私が担当した事例をご紹介しましょう。製造業において賠償責任を問われた際の対応として非常に参考になるでしょう。トラブルが発生したのは、暖房機器メーカーのラムダ。お客様係として電話対応を行っていた松村慎太郎さん(45)のもとに次のような連絡がありました。
「そちらの石油ストーブのせいで家財道具がダメになったんだけど補償してくれます?」
と、電話してきたのは多部治さん(54)。15年ほど前に製造・販売した石油ストーブのタンクから油漏れが発生。幸い大事には至らなかったが、家財道具の一部が使い物にならなくなったので家財の代償と慰謝料を補償してほしいとのこと。ご迷惑とご心配をおかけした点についてお詫びし、改めて家財の被害状況についてヒアリング。故障した製品の回収を兼ねて、後日、お詫びと損害調査のためにお宅に訪問させていただくお約束をちょうだいしたところで電話を終えています。
先ほどはお電話いただき、ありがとうございました。この度は多大なるご迷惑とご心配をおかけしており、誠に申し訳ありません。
製品の型番号をお調べしたところ、弊社が17年前に製造・販売していた商品でございました。恐れ入りますが、大変型が古く、本来であれば補償の対象には該当しない製品となります。しかしながら弊社の製品がお客様にご迷惑をおかけしたのであれば、会社方針として可能な範囲内で補償内容を検討させていただきたく存じます。ご迷惑でなければ、近日中にお詫びと損害状況の確認のため、ご自宅にお伺いしてもよろしいでしょうか?
難しいことはよくわからないけど、一度、現状を見に来てみてください。週末の午前中なら自宅にいます。
では3日後の12月7日(土)午前9時に2名でお伺いいたします。
はい、わかりました。お待ちしています。
松村さん(45)は後日対面する約束を取り付けました。こうしたケースでは、当日迷わずに対応できるよう、事前に何をお伝えするかを網羅したトークスクリプトを作成します。みなさんならどんな内容を盛り込みますか?
また製品の賠償責任を問うクレームに対処するには、製造物責任法(PL法)という法律の知識が必要です。企業としての方針がある程度固まった段階で顧問弁護士のリーガルチェックを受け、正しい知識を身につけておきましょう。
ちなみに「製造物責任法(PL法)」とは、「製造物」の欠陥が原因で、他人の生命・身体・財産に損害が生じた場合、製造業者等に損害賠償責任を負わせる法律のことです。
弁護士 藤本慎司 監修|東京弁護士会所属
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