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Case1:誰がどこで喫煙したことによるものなのかにより判断が分かれる2020年7月27日
今回ご紹介するのは、メンタルケア心理士の資格も持つ西宮ゆり子(38)が担当した【飲食チェーンにおける嫌煙クレーム】模範対応編です。
真実を明らかにするための聞き取りが大切
こんにちは、西宮でございます。
前回に引き続き、飲食チェーンにおける喫煙トラブルの対応を見ていきましょう。橋立詩織さん(37)が受けた、タバコ嫌いのお客様・佐藤卓さん(62)の対応事例です。
クレーム内容
- ◆アクロス店の従業員が喫煙禁止の場所でタバコを吸っているのを目撃した
- ◆従業員教育がなっていない
- ◆タバコを吸う従業員はクビにしろ
このようなクレームの場合、とにもかくにも事実の確認が非常に重要となります。今回の武蔵屋でもアクロス店の全従業員に聞き取り調査が行われました。その結果、申告された人物の特定にはいたらず、ご指摘いただいた喫煙所以外でのタバコの喫煙という事実の確認は取れませんでした。事実がはっきりしない状況では、具体的な謝罪や改善の対応は難しいと言えるでしょう。そんな中、お客様への説明としては、直接的な謝罪ではなく、もし今後そのような事実が発覚した場合には、どのように対応する方針かをお伝えするに留めるべきです。橋立さんも謝罪についての直接的な言及は避け、仮定を前提とした伝え方をしています。
アクロス店に聞き取り調査した結果、恐れ入りますが、喫煙所以外の場所で喫煙した従業員の特定にはいたりませんでした。当店では喫煙禁止場所での喫煙は固く禁じておりますが、もし従業員がご指摘の行為をしていることがあれば強く注意し、改善したいと考えております。ご指摘を真摯に受け止め、今後に活かしてまいります。この度はご連絡いただき、ありがとうございました。
ちょっと待てよ。俺が嘘ついてるっていうのかよ。アクロス店の従業員で間違いないんだよ、この目で見たんだから。証拠の写真だってある。改善されないなら、店に乗り込むからな!
けしてそのようなことは……。該当スタッフの写真があれば、さらに詳しい調査ができるかと思われます。お手数をおかけして申し訳ありませんが、弊社メールアドレスまで証拠画像をお送りいただけませんでしょうか?
ほんとにふざけんなよ!(ガチャ)
・・・・・・(捨て台詞を叫んだあと切電し、その後、連絡はなし)・・・・・・
誰がどこでタバコを吸ったのかにより、対応は変わってきます。今回のケースは目撃情報がとても曖昧です。スタッフとそっくりな人物との見間違いの可能性も考えられますし、場合によっては悪質クレーマーの虚偽の申告ということもあるかもしれません。現に、アクロス店の従業員への聞き取り調査では「店舗近くには喫煙所があり、スタッフがそこで喫煙することはあるが、それ以外の場所での喫煙は店長をはじめその他の従業員も、見聞きしたことがない」との回答が得られています。
該当の人物が不在な以上、現状の方針をお伝えし、ご理解いただくしかありません。オドオドしたりせず、毅然とした態度でお伝えするのがポイントです。その上で、わざわざ貴重なご意見をお申し出いただいたことに対する感謝も忘れないようにしたいですね。念のためアクロス店に対しては、喫煙に対するマナーの徹底、特に喫煙禁止場所での喫煙は厳禁であるというルールを改め守るように指導しておくと良いでしょう。
弁護士 藤本慎司 監修|東京弁護士会所属
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スタッフによるスキル差が目立ちはじめた
……など
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