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Case12:納得いただけない理由に焦点を当てることが大事2022年1月10日
いつも穏やかな笑顔で事案を解決へと導く増山利伸(55)が担当した【飲食店におけるキャンペーンクレーム】模範対応編です。
「(できれば対応したいが)できない理由がある」という姿勢を強調
こんにちは、増山です。
前回に引き続き、キャンペーンの有効期限における延長対応について考えていきましょう。対応できない理由を説明しても、お客様の長谷川さん(38)は「納得できない」の一点張り。果たして、クリーム&シュガーの店長である大橋さん(29)は、チケットの有効期限延長に応じるべきでしょうか?
クレーム内容
- ◆コロナ禍で外出できないので、キャンペーンチケットの有効期限を延長してほしい
今回のケースの場合、チケットの延長対応をできないのには明確な理由がありました。「店舗ごとにキャンペーンが異なる」「今回は対応ができないキャンペーンである」などです。通常は、そうした事情を説明すればご納得いただけるのですが、事態を複雑にしているのは「コロナ禍の時期である」「他店では対応してくれた」の2点。これがお客様にとって納得できない理由になっているのです。
クリーム&シュガーの大橋です。先日はお問い合わせいただきありがとうございました。本部と確認が取れましたのでご連絡いたしました。
キャンペーンチケットの件ですね。それで、有効期限は延長してもらえるのでしょうか?
先日もお伝えしました通り、キャンペーンは店舗ごとに異なっておりまして、当店が行なっているものについては、延長の対応ができないものとなっております。
詳しくご説明しますと、当店は駅前ビルのテナントであり、今回のキャンペーンはビル全体のキャンペーンと連動した施策でございました。そのため、当店のみ延長するという判断ができないのです。大通り店については、店舗独自の施策であるため、対応可能だったという事情でございました。
以上の理由から、チケットの延長ができないことをご了承いただけますと幸いです。長谷川様のご要望に沿いかねる結果となってしまい、このたびは申し訳ございません。
理由は分かりました。それならしょうがないですね。
こちらも十分に検討を重ねましたが、このような対応となりますことを心苦しく思っております。引き続きご愛顧いただけますよう、努力していく所存です。
大橋さん(29)から、対応ができない理由についてより詳しい説明がありました。テナントとして入っているビル全体のキャンペーンと連動した施策だったため、店舗単独で延長の判断できないとのこと。まさに、これ以上ないハッキリとした理由と言えるでしょう。お客様が納得できない理由に焦点を当て、それを掘り下げて説明することにより解決へと導くのは、素晴らしい対応です。
それともう一つ、「(できれば対応したいが)どうしてもできない理由がある」という姿勢を示したことも良かったポイントです。ルールだからと突き放すよりも、随分と印象が変わるのではないでしょうか。そういった対処も、クレーム対応のテクニックのひとつです。
弁護士 藤本慎司 監修|東京弁護士会所属
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