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Case17:従業員のミスに対する過度な謝罪要求はどう対処すべきか?2022年10月31日
今回ご紹介するのは、当相談室の室長である四谷信司(58)が自ら担当した【薬局における調剤過誤による過剰要求クレーム】トラブル発生編です。
謝罪の手を尽くしたにもかかわらず、納得してもらえない
こんにちは、当相談室の室長を務める四谷です。
今回ご紹介する事例は、クレーム対応の現場で意外と多いケースになります。舞台は、調剤薬局チェーンを展開しているサンシャイン薬局。薬剤師として店舗に勤務している中村皇成さん(30)はある時、処方箋の見間違いから調剤過誤を起こしてしまったとのこと。直ちに本部へ連絡し、社内規定に則って真摯に対応したものの、過剰な謝罪要求を突きつけられたと言います。
「謝罪だけでは誠意が感じられない、丸坊主にして出直してこい!」
と強い口調で訴えるのは、サンシャイン薬局をたびたび利用しているという今泉昭二さん(66)。普段通り処方薬を持ち帰って服用していましたが、数日経過してから「いつも飲んでいた薬の名前と違う」ことに気付き、再度薬局を訪れたとのこと。そこで先の丸坊主発言が飛び出したそうです。
えぇ!? お調べしますので少々お待ちください。
・・・・・・(薬歴を確認した結果、調剤過誤が発覚。本部に報告しその場で指示を仰ぐ)・・・・・・
誠に申し訳ございません、確認したところ手違いにより別のお薬をお渡ししてしまっておりました。。。なんとお詫びしていいか。念のためお身体に影響がないか検査のため、一度かかりつけの朝日病院を受診していただけますでしょうか。こちらからも病院へ連絡いたしますので……。本当に申し訳ありませんでした。
おっしゃる通りです。本部とも相談して、改めて対応させていただきます……。この度は申し訳ありませんでした。
後日、改めて謝罪のため中村さんと本部長の杉本明(45)さんで今泉さん宅に伺うも、面会してもらえず。数日後に今回のミスが発生した経緯をまとめた報告書や、健康被害がなかったことを証明する調査報告書を持参の上、再度訪問した。
本日はお時間をいただき、ありがとうございます。本部長の杉本と申します。このたびは大変ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。
申し訳ありません……。
本日は改めての謝罪と、報告書をお持ちしました。こちらをお渡しして、説明させていただけたらと思うのですが。
・・・・・・(会話できないまま、その場で追い返されてしまう)・・・・・・
報告書によると、本来サンシャイン薬局では、お客様にお渡しする薬のダブルチェックを欠かさず行っているとのこと。しかし中村さんはその手順をうっかり飛ばしてしまい、自分一人で確認しただけで薬を渡した結果、今回のミスが起きてしまったようです。
たしかに調剤過誤は、あってはならない重大なミス。今泉さんがお怒りになるのも理解できます。とはいえ、今回のミスが起きた経緯についてサンシャイン薬局は、報告書を通じて説明するなど誠意ある対応をしています。さらに、健康被害などの実害がなかったことも病院から確認が取れているにもかかわらず、中村さんへの『丸坊主による謝罪』の要求まで受け入れないといけないのでしょうか?
すでにできることは手を尽くしているように見える今回のケース。ここからどのように対応すればご納得いただけるのか、ぜひ一緒に考えていきましょう。
弁護士 藤本慎司 監修|東京弁護士会所属
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