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Case16:お客様の心情を慮り、徹底して寄り添う姿勢を示すことが大事2022年10月17日
いつも穏やかな笑顔で事案を解決へと導く増山利伸(55)が担当した【大手飲食チェーンにおける接客態度不良クレーム】模範対応編です。
お客様の心情にとことん寄り添って、丁寧に謝罪
こんにちは、増山です。
前回に引き続き、接客態度不良に対する対応について考えていきましょう。カスタマー事業部の村田さん(24)がどんなに謝罪しても、お客様である橋本さん(42)の怒りは収まるどころか増すばかりでしたね。こうした場合、どのように対応すればご納得いただけるのでしょうか?
クレーム内容
- ◆注文した料理を返却口から提供された。
- ◆やんわりと指摘したところ、軽くあしらわれた。
- ◆「ちょっと待って!」と乱暴な言い方で待たされた。
- ◆卵の割引サービスについて、店員から説明がなかった。
クレームの内容について、順を追って見ていきましょう。まず「注文した料理が返却口から提供された」。これが事実なら、橋本さんのお怒りもごもっともです。にもかかわらず、橋本さんは不快に思いつつも、その場では何も言わずに料理を召し上がりました。ところが、帰り際にやんわりと指摘したところ、軽くあしらわれたことで怒りのスイッチがオン。その後は、細かな苦情の積み重ねもあって収まりがつかなくなっていった、という流れでした。
どうやら、橋本さんの本当の怒りポイントは、「従業員の行為そのもの」ではなく「軽くあしらわれたこと」にあるようです。そのことをしっかり踏まえた上で、模範解答を見ていきましょう。
さっき電話した橋本だけど。あいつのクビは決まったわけ?
再度のご連絡、お手数をおかけして申し訳ありません。あれから弊社でも当該店舗に確認を行いました。その上で、改めてお詫びさせていただきたいと存じます。
当初、橋本様から当店スタッフへご指摘を賜った際は、優しく諭すようにお声がけいただいたにもかかわらず、横柄な態度で対応したとのこと。不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございませんでした。
そうだよ、こっちは我慢して優しく言ってやったのに……。そんなひどい話ないだろう?
おっしゃる通りです。ご配慮いただきながら弊社の教育が行き届いておらず、不徳の致すところだと認識しております。
まぁ、わかってくれれば良いんだよ。
今回の件につきましては、詳細を全店舗で共有させていただくとともに、当該の従業員に対しても店長より再教育を行う運びとなりました。橋本様から頂戴した貴重なご指摘を教訓としまして、引き続きサービスレベルの向上に努める所存でございます。
あぁ、そう。そこまで言うならぜひそうしてほしいね。よろしく頼むよ。
ありがとうございます。今後とも何卒よろしくお願いいたします。
いかがでしょうか。クレームの原因が「従業員の行為そのもの」ではなく、「軽くあしらわれたこと」であると気づいた村田さんは、徹底して橋本さんの心情に寄り添う姿勢を示しました。すると、橋本さんの態度がみるみる軟化し、当初の「社長を出せ!」「クビにしろ!」といった要求に答えずとも、ご納得いただくことができたようです。
また、「お客様からの指摘を教訓にする」と伝えたところも良かったですね。相手の気持ちに寄り添うだけでなく、しっかりと受け止めることによって、橋本さんが感じていた「軽くあしらわれた」という不満を払拭できたのでしょう。こういった対処も、クレーム対応の重要なテクニックのひとつですね。
弁護士 藤本慎司 監修|東京弁護士会所属
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