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カスタマーハラスメント対応2021年3月8日

どのようなビジネスであっても、お客様から苦情やクレームをいただいてしまうことがあります。この連載「苦情・クレーム対応ガイドブック」では、そんなもしもの事態に備えてその対応方法を解説していきます。今回のテーマはさまざまなクレームの中でも特に冷静かつ適切な処置が必要な「カスタマーハラスメント対応」です。

カスタマーハラスメント対策は企業としての「義務」

従業員を守る手

ここ数年、さまざまな媒体で「○○ハラスメント」という言葉を見聞きする機会が多くなりました。社会的にも定着しつつあるセクシャルハラスメント(セクハラ)、パワーハラスメント(パワハラ)に加えて、飲みの場などで飲酒を強要するアルコールハラスメント(アルハラ)や、言葉や態度によって精神的苦痛を与えるモラルハラスメント(モラハラ)など、ハラスメントの種類は多岐にわたります。
 
今回のテーマであるカスタマーハラスメント(カスハラ)は、企業が顧客から受ける悪質なクレームのこと。クレームの中には、企業側のミスに対する指摘の他、サービスの改善・向上に繫がるものもあり、話し合いを通じて解決できるケースが多くあります。しかしカスハラは、攻撃的な態度を示されたり過剰な対応を執拗に求められたりと、落ち着いた解決を望めないのが大きな特徴です。
 
クレーマーから直接カスハラを受けるのは、主に売場担当者などの従業員です。場合によっては、カスハラを受けたことによる過度なストレスで、精神や身体に支障をきたすことがあるかもしれません。そのため雇用主である企業は、従業員との間で締結した労働契約に基づく「安全配慮義務」の観点から、企業としてカスハラ対策に取り組む必要があります。決して放置することのないよう、万全な対策を講じましょう。
 
カスハラの種類としては、大きく分けて以下の3つが挙げられます。
 

暴言・恫喝

「死ね」「クズ」などと大声で罵ったり、「自宅まで謝罪に来い」「土下座しろ」といった過剰な要求をしたりする行為は、カスハラの代表的な事例。このような行為は、脅迫罪や強要罪に該当する場合もあります。
 

金銭の要求・支払い拒否

理不尽な理由で何らかの被害を受けたとして慰謝料を請求したり、受けたサービスに適当な理由をつけて支払いを拒絶したりする行為もカスハラです。例えば、商品の渡し方が気に入らないとの理由から100万円の慰謝料を要求するケースは、恐喝に該当する場合もあります。
 

SNSへの投稿・拡散

以前、店員の土下座させられる様子がSNSにアップされたとして、ニュースになったことがありましたが、こうした行為はプライバシーの侵害に当たります。また、企業への誹謗や虚偽の書き込みも立派なカスハラ。こちらは名誉毀損罪や信用毀損罪に該当する場合があります。
 

事前準備がカギ! 従業員を守る「対応の制度化」

カスハラを考える上で、忘れてはならないことがあります。それは、クレーマーと直接向き合っているのが、企業ではなく従業員であるということ。大切な従業員を守る意味でも、企業は具体的な対処法を定め、事前に制度化しておく必要があります。

カスハラが起きた際、それが企業として謝罪の必要がある事象かどうか、謝罪が必要な場合はどのようなかたちで行うかといった線引きやルールを、予め社内で決めておくとよいでしょう。加えて、報告・相談先(上司や職場内の担当者など)を明確にし、従業員へ周知することも大切です。

カスハラ対策のポイントは「対応の制度化」。精神的に追い込む行為は悪質クレーマーの常套手段ですが、そうした行為にも従業員が慌てずに対処できるよう、事前準備と共有が不可欠です。また、万が一問題が大きくなってしまった際の対策として、専門家への相談や状況によって警察との連携も視野に入れておくとより安心でしょう。
 

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