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Case4:製造物責任法(PL法)上、15年以上前の製品は損害賠償の対象外2020年9月28日
今回ご紹介するのは、持ち前の愛嬌でどんな相手でも懐に入り込んでしまう飯塚直人(52)が担当した【製造業における製品の賠償責任クレーム】模範対応編です。
善意ある対応がお客様との信頼を強くする
こんにちは、飯塚です。
前回に引き続き、暖房機器メーカーのラムダで起こった製品の賠償責任クレームの対応事例を見ていきましょう。製品トラブルは法的責任と道義的責任の両面から考えなくてはなりません。
クレーム内容
- ◆15年ほど前に買った石油ストーブのタンクから灯油が漏れ、家財道具がダメになったので補償してほしい
ご自宅訪問の日を迎えた松村慎太郎さん(45)は上司である里中修作さん(56)と共に、お客様である多部治さん(54)さんのご自宅に向かいました。謝罪訪問の際にはこのように単独ではなく、二人一組で向かうのが鉄則です。アウェイの空間で単独謝罪はさらなるトラブルを引き起こす危険もありますので要注意。また服装などの見た目の印象にも気を配ると良いです。
お忙しい中、本日はお時間を割いていただき、ありがとうございます。またこの度は、ご迷惑をおかけして誠に申し訳ありません。
早速ですが製品を見せていただいてもよろしいでしょうか?
どうぞ、こちらです。普通に使ってただけなのにいきなり灯油が下から滲み出てきたんですよ。
間違いなく弊社の石油ストーブです。この度はご迷惑おかけして申し訳ありません。製品の引き渡し後15年以上経過していることから、本来であれば損害賠償の対象外であり、また顧問弁護士から迷惑料や慰謝料等を支払う法律的な義務はないとの見解が出ている状況ではありますが、会社方針として、可能な範囲内で補償内容を検討させていただきます。
・・・・・・(被害を受けた家財をひとつひとつ丁寧に確認)・・・・・・
この日は即答せず、会社に報告した上で、後日、会社判断で故障した製品は現行の最新バージョンと無償交換し、被害に遭われた衣類と電化製品2点はお買い換えしていただき、領収書の額面分をお支払いをすると、補償内容をお伝えしたそうです。最終的には多部治さん(54)から「よくしていただいたので、それ以外の安価な家財についての補償は結構です」とのお申し出があり、無事、和解にいたったとのこと。
大切なのは事前準備。顧問弁護士によるリーガルチェックを受けた対応フローをトークスクリプトに落とし込み、その内容をしっかりと頭に入れて、対応に望みましょう。法的根拠があると人は納得しやすいものです。また謝罪訪問時、事前に想定していた内容ではない要求があるやもしれません。もしそのほかの要求があれば、その場では判断せず、必ず会社に持ち帰って協議すると伝えるようにしましょう。あくまで会社の代表として訪問している心づもりで、個人での判断や決定は避けましょう!
弁護士 藤本慎司 監修|東京弁護士会所属
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