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Case3:特別扱いを要求するお客様は今後も関係を続けたいかにより対処2020年9月7日
今回ご紹介するのは、いつも穏やかな笑顔で事案を解決へと導く増山利伸(55)が担当した【飲食店における過剰要求クレーム】模範対応編です。
過度に期待してしまうのはお店への愛がゆえ
こんにちは、増山です。
前回に引き続き、飲食店で起きた過剰要求クレームの事例を見てまいりましょう。日の出食堂の常連客・宮本映司さん(71)の「いつもの」でオーダーを通してほしいという要求は答えるべきなのでしょうか? その答えは、宮本さんが店舗として今後もお付き合いを続けたいお客様かどうかによって変わってきます。
クレーム内容
- ◆毎日同じ時間に利用しているので特別扱いをしてほしい
- ◆「いつもの」のオーダーぐらい店員同士で引継ぎをしてほしい
日の出食堂としては長年通ってくれている常連客なので、これからも通い続けてほしい大切なお客様であるとのこと。そうであれば対応の方針は、真摯な謝罪と今後の改善策のご提示です。さらにこうしたケースでは、お客様を大事に思っていることの表れとして落ち着いたスペースで座って対応すると良いでしょう。
この度はご不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございません。宮本様に昔からご贔屓にしていただき、感謝しております。
ホントだよ。これだけ毎朝通ってて毎回同じメニューなんだからスッと出してくれてもいいだろ。
宮本様は日の出食堂にとって大切なお客様です。当店はチェーン店ということもあり、人員の交代がございます。今回は新人が接客させていただいたため、ご不快な思いをさせてしまい申し訳なく思っています。
今後、同様のことが起こらないよう、可能な限りオーダーのわかる私とシフトリーダーで応対させていただく所存ではありますが、場合により別の人間が対応し「いつもの」がわからないようであれば、お手数ですが「店長かシフトリーダーに聞いてね」とご指示いただけませんでしょうか?
わかったよ。毎日来てるのに一見みたいに扱われたからついカッっとなってな。悪かったな。俺、ココのサバ味噌が好きなんだよ。常連の「いつもの」くらい覚えといてくれよ。
20年も毎日通っているお客様だからこその思いがあったようです。いつなんどき些細なことが怒りになってしまうかわかりません。接客する際は常に丁寧さを忘れないようにしましょう。店長の坂本さん(43)が、真摯な謝罪と日頃のご愛顧への感謝を表し、今後の改善策をご提示したところ、あっさりとご納得いただき、その後も毎朝ご来店いただいているとのこと。しっかりと向き合えば分かり合えることを教えてくれる事例でした。
「過剰要求クレーム」だからといって、一概にすぐにお断りするというのではあまりにマニュアル対応というもの。数回しか来店したことがないお客様が「いつもの」とオーダーしたいというのに応える必要はないとは思いますが、今回のケースのように長年毎朝通ってくれているお客様であれば、こうした特別扱いも必要かもしれません。お店側としてお客様との関係をどうしたいかに着目し、その時々で個々に合わせた適切な判断をしていきましょう。
弁護士 藤本慎司 監修|東京弁護士会所属
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