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Case10:早急に警察・弁護士等の専門家に相談の上、被害者に対して企業として謝罪2021年2月8日

お客様を相手にした商売にカスタマーサービスは必要不可欠。この連載では顧客対応に関する“アレコレ”を「カスタマーサービスのお悩み相談室」の個性豊かな面々が解説していきます。

今回ご紹介するのは、当相談室の室長である四谷信司(58)が自ら担当した【薬局における個人情報漏えいクレーム】模範対応編です。

先手で対応策をお伝えすることで被害を最小限に抑えよう

四谷信司(58)

こんにちは、当相談室の室長を務める四谷です。

前回に引き続き、ルラ調剤薬局で起きた個人情報漏えい事件について見ていきましょう。本来個人情報は厳重に取り扱われなければなりません。しかし相手が大学病院の医師であるという肩書きに安心してしまい、お客様の大切な個人情報を教えてしまったというのが今回のケース。電話という相手が見えない状況ではこのような油断は禁物です。

クレーム内容
  • ◆顧客の個人情報を第三者に開示してしまった

 
事務員である中里しおりさん(26)の対応による個人情報漏えいであるとはいえ、個人ではなく企業としての対応力が問われます。まだ犯罪が起きているかどうかもわからない状態であっても、まずは警察や顧問弁護士に相談することが望まれます。

予期せぬ犯罪に巻き込まれないためにも、お客様には個人情報が第三者に渡ってしまったという事実はお伝えしなければなりません。心よりの謝罪の意を示すだけでなく、専門家に相談した上での最適な対処法を提示することで、少しでもご負担を軽くするように努めましょう。


tatsuno
立野照之

突然のお電話で申し訳ありません。私、ルラ調剤薬局の店長・立野と申します。いつもご利用ありがとうございます。いま少々お時間よろしいでしょうか?

yamanaka
山中涼子

はい、どうぞ。なんでしょうか?

tatsuno
立野照之

大変申し上げにくいのですが、当店のミスにより山中様のお電話番号を第三者にお教えしてしまった事案が発生しました。取り急ぎ、お詫びとともにご注意いただくようお願いのご連絡でございます。

yamanaka
山中涼子

えーと、どういうことでしょうか?

tatsuno
立野照之

ご迷惑おかけし、大変申し訳ございません実は当店へ言葉巧みに大学病院の医師を名乗る人物から処方箋を出した山中涼子様と至急連絡を取りたいと電話番号の問い合わせがあり、お教えしてしまったのですが、後から不審に思い確認を行ったところ、その人物がなりすましであったことが発覚した次第です。……本当に申し訳ございません。

yamanaka
山中涼子

どうしてそんな、ずさんな管理体制なんですか……。

tatsuno
立野照之

心よりお詫び申し上げます。管理体制を見直すとともに、再発防止に努めて参ります。すでに警察署と顧問弁護士への相談を終えております。もし営業電話等の不審な電話があった場合は、「もう電話しないでほしい」と明確に伝えるのが撃退のポイントとなります。なんらかの不審な電話があれば、当店までご一報いただけますでしょうか?

yamanaka
山中涼子

わかりました。もし何かあればすぐにご連絡します。

 

・・・・・・(後日、手土産を持参し、謝罪訪問を行う)・・・・・・

 


後日談ですが、山中さんには商品購入を勧める電話があったのこと。アドバイス通り「もう電話しないでほしい」と返答したところ、それ以上の電話が来ることはなかったそうです。その後も定期的に不審な電話がかかっていないことを確認し、一定の見守り期間を経て対応を終了しています。

このようなケースでは、まずは事実のご報告と会社としての謝罪が不可欠。個人のミスとせず、会社の責任として陳謝することが重要となります。その時点で被害が発生していなくても、今後もし被害に遭った場合、「該当の情報漏えいとの法的責任が立証された際は賠償義務がある」というのが顧問弁護士による見解。被害者の方には、もしもの際は責任を取る旨を明確に伝えてご安心いただきましょう。また警察に加え、公的機関への報告も至急行うことが大切です。公的機関へ報告済みであることをお伝えすることは、隠蔽の意図はないことを暗に伝えることにもなります。
 

※この記事はカスタマーサービスの対応例を学ぶために事実を元に構成したフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

 

弁護士 藤本慎司 監修|東京弁護士会所属

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