ホーム › 連載・コラム ›  従業員のモチベーションマネジメント

従業員のモチベーションマネジメント2025年6月16日

どのようなビジネスであっても、お客様から苦情やクレームをいただいてしまうことがあります。この連載「苦情・クレーム対応ガイドブック」では、そんなもしもの事態に備えてその対応方法を解説していきます。今回のテーマは、生産性の向上に効果的な「従業員のモチベーションマネジメント」です。

従業員の自己成長を促すモチベーション

従業員一人ひとりが高いパフォーマンスを発揮する上で欠かせないもの。それは仕事に対するモチベーションです。モチベーションが高いと前向きに業務と向き合えるため、スキルや業務効率の向上が期待できます。企業にとって従業員のやる気をいかに引き出すかが、労働生産性を高めるポイントであり、そのために必要なのが、モチベーションマネジメントです。

ネガティブな感情を示している相手と対話することは、できれば避けたいと思うのが人間の性です。クレーム対応の現場では、その現場の責任者の方や、比較的コミュニケーション能力が高い方が、「仕方なく」担当しているようなケースが多いものと思われます。
 
例えばお客様のご申告内容に対する企業としての対応方針のすり合わせや、その根拠のご説明の在り方等について、本社の然るべき部署によるバックアップ体制が確立されていない、もしくは不十分という環境では、現場の精神的負荷は大きくなり、モチベーションも低下していきます。
 

環境の影響を受けやすいモチベーションは意識して管理しよう

モチベーションは大きく分けて、従業員自身の内側から沸き出す「内発的動機づけ」と、外部要因によってもたらされる「外発的動機づけ」とあります。前者は個人の興味関心や成長実感、後者は周囲からの評価や得られる報酬などが該当します。
 
何に対してモチベ―ションを見いだすかは人それぞれですが、現在のところ、企業としてクレーム対応の実績や能力を評価する指針が定められていることは稀ですので、どんなに身を削ってクレームの対応を頑張っても、社内の誰もその苦労に気づいてくれない、その頑張りに見合う社内評価を得られない・・・といった環境面の問題が発生しやすい点は、無視できません。
 
しかしクレーム対応や、近年注目されているカスタマーハラスメント対策では、企業として真摯に取り組む姿勢を示すとともに、対応する従業員を企業が積極的に支援し、予防・解決に取り組む体制を明確に示す必要があります。こうした方針に基づいて適切な施策を講じることは、現場のモチベーションを高めるとともに、対応者の苦手意識の克服にもつながるでしょう。
 
モチベーションマネジメントを実践する上で、企業が取り入れやすい主な施策は以下のとおりです。
 

1on1ミーティング

従業員が率直な思いを伝えられるよう、上司や組織長による面談は1on1で行うと良いでしょう。忌憚のない意見に耳を傾けることは、モチベーションマネジメントの実現に不可欠です。また、十分な時間を掛けて向き合うことで信頼関係が深まり、その結果モチベーションの向上につながる場合もあります。
 

明確な目標の設定

具体的な目標やその目的を実現するための指針を示すことも、モチベーションマネジメントを成功させる大事なコツです。「成長している実感が持てない」「自分の役割や存在意義がわからない」といった状態が続くと、従業員は働く意味を見失います。そうならないためにも、評価制度の見直しや資格取得の支援、キャリアステップの明確化を図りましょう。
 

社内アンケート調査

モチベーションは内的要因や外的要因によって左右され、常に一定とは限りません。そのため、定期的に社内調査を実施して状況を把握しましょう。社内調査の方法には、従業員のエンゲージメント(愛社精神・貢献意欲)を測定するエンゲージメントサーベイモラールサーベイパルスサーベイなどがあります。
 

双方向のコミュニケーションが大切

カスタマーハラスメントに関する定量調査(*1)の調べでは、カスハラ(悪質クレーム)がもたらす「負の連鎖」として、カスハラ被害にあった際の会社の対応として、「知っていたが、何も対応はなかった」が36.3%、「会社は認知していなかった」が19.3%という結果が明らかになっています。
 
さらに被害後に会社や上司から「ひたすら我慢を強要された」「軽んじられ相手にされなかった」「一方的に自分のせいにされた」の合計は25.5%と、セカンドハラスメントの実態もあることが浮き彫りとなり、上記のような背景が、モチベーションの低下、そして離職の要因となっている現状も見えてきます。
 
モチベーションが低下すると、生産性が下がるだけでなく、帰属意識の低下や離職といった問題が発生します。そうした事態を防ぐためにも、従業員が前向きに働ける環境を整えることが必要です。
 
社内調査や1on1ミーティングの結果も踏まえて、従業員が企業に対し「何を期待しているのか?」をしっかりと把握しましょう。さらに重要なのは、個人のポテンシャルのみに依存するのではなく、企業が求める期待値と従業員一人ひとりの特性をすり合わせ、苦手意識を克服できるように導いていくことです。これこそが、モチベーションマネジメントの本質だと言えるでしょう。
 
(*1)出典:カスタマーハラスメントに関する定量調査, パーソナル総合研究所, 2024年6月
 

 
日本アイラックは理想の『お客様相談室』構築・運営を全力サポートします。
選任担当者がおらず十分な対応ができていない
難易度の高いクレームが増えてきて困っている
スタッフによるスキル差が目立ちはじめた

……など

苦情・クレーム対応のことならお気軽にご相談ください。

※「クレームナビ」を見たとお伝えいただくとスムーズです。

03-6625-5380

お問い合わせ時間 9:30〜17:30(平日のみ)

お問い合わせ

関連記事