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従業員のメンタルヘルスの測り方2025年5月19日
クレーム現場におけるメンタルヘルスの重要性

どのような職場でも仕事のプレッシャーや人間関係などを理由に、誰しもが多かれ少なかれストレスを抱えています。ストレスによるさまざまな悪影響も広く知られるようになり、2015年12月にはストレスチェック制度が施行。労働者が常時50名以上の事業場に年1回のストレスチェック実施が義務付けられました。「メンタルヘルス」という言葉も一般的になった昨今、従業員の心と体を健康に保つことは、事業者が担うべき責任と言えるでしょう。
特にクレーム対応の現場では、従業員のメンタルヘルスに十分な配慮が必要です。苦情の対応のみならず、理不尽な要求や謝罪を強要された場合、受けるストレスも相当なもの。人によっては就業の継続が困難になる場合もあります。そうした事態を防ぐためにも、事業者は従業員のメンタルヘルスを定期的にチェックし、心の状態をきちんと把握するべきです。
従業員のメンタルヘルスをチェックする方法としては、以下のようなものがあります。
ストレスチェック
ストレスに関するさまざまな質問に回答することで、現在のストレス度合いを調べるアンケート調査です。厚生労働省が推奨するストレスチェックでは、57 項目にわたるさまざまな質問に対して「そうだ/ややそうだ/ややちがう/ちがう」の4段階から最も当てはまるものを選択。その結果を分析してストレスレベルを測ります。労働者が常時50名以上の事業場に実施義務がありますが、それ以外の職場でも積極的に導入を検討しましょう。
パルスサーベイ
5問~15問程度の質問を週1回〜月1回の短いスパンで繰り返し行う調査方法です。通常は従業員の満足度調査に用いられますが、従業員の変化をタイムリーに把握できることから、近年はメンタルヘルス対策として実施する事業者が増えています。質問内容は特に決まりがなく、自由に設定が可能。メンタルヘルス対策として実施する場合は「仕事にやりがいを感じているか」「しっかり休息を取れているか」などが妥当です。
センサスサーベイ
50問~150問程度の質問を半年〜年に1回のペースで実施する調査方法です。本来は従業員の仕事に対する意識やエンゲージメント(愛着・貢献意欲)を把握するための手法ですが、質問項目が多岐にわたるためメンタルヘルスのチェックにも有効です。また、一度に大量のデータが取得できるため、多角的な分析ができるというメリットもあります。
日常的に従業員の様子を観察することも大事
従業員のメンタルケアは、離職の防止やストレス緩和のために不可欠な取り組みです。中でも、日々クレーム対応に向き合っている従業員には特性上のストレスが大きいことを前提としたフォローアップが求められます。
メンタルヘルスが原因で、離職者や休業者が増えると提供するサービスの品質も低下します。そうなれば、業績の低迷や信頼の喪失といった事態も免れません。安定した経営を維持するためにも、状況に応じて適宜相談を行うことができる窓口を設置するなど、従業員が健やかに働ける環境を整えることが大切です。
アンケ―ト調査に限らず、メンタル不調のサインはさまざまな場面でキャッチできます。「遅刻や欠勤が増えた」「口数が減った」「伏し目がち、うつむきがちになった」など、少しでも以前と違う様子が見られたら要注意。日頃から従業員をしっかりと観察し、必要に応じて面談を行い、従業員が抱えている事案を共有することが大切です。
また、カスハラ行為を受けた従業員への配慮や、フォロー体制の見直しなどへの取り組み(カスハラ行為者には複数人で対応する、一人にさせないなど)、マニュアルの整備など、速やかなアクションで企業側が積極的に従業員を守る姿勢を示し、早期改善につなげていきましょう。
選任担当者がおらず十分な対応ができていない
難易度の高いクレームが増えてきて困っている
スタッフによるスキル差が目立ちはじめた
……など
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