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File3-3:誤解思考タイプのお客様に振り回されないために判断基準を用意2025年8月11日

どんなお仕事でも、想定外の苦情・クレームがあるものです。その中でも働くみなさんの現場で頭を悩ませるのは、顧客による嫌がらせ行為。この連載では、みなさんから当相談室に寄せられた様々な「カスハラエピソード」を紹介し、顧客からの不当な要求に対する「毅然と」かつ「丁寧な」適切な対応を身に付けていくための対処方法をお伝えしていきます。
 
今回ご紹介するカスハラ事例は、【「顔も性格もブス!」と暴言・脅迫を連発する女性客】アドバイス編です。

西宮ゆり子が撃退のポイントを解説

西宮ゆり子(38)

こんにちは、カスタマ―サービスお悩み相談室の西宮ゆり子(38)です。
 
企業の提供するサービスに、瑕疵・過失が客観的に認められない状況にも関わらず、「怒鳴り声」「横暴な態度」などの感情的かつ威圧的な言動を伴って、妥当性を欠く要求や、解決不能な要求を繰り返し、従業員に過剰な精神的苦痛を与える行為は、まさにカスハラと言えます。
 
それでは、この事例に学ぶ適切な対処法を、Q&Aにてお答えしましょう。

暴言型や威嚇・脅迫型の
カスハラ行為への対応に関する疑問に回答!

従業員を辞めさせろと要求し続けるお客様へのベストな対応はなんでしょうか?

解雇の要求が強要罪にあたる可能性があることを前提に対応しましょう

そもそもの前提として、根拠のない解雇を要求するのは強要罪にあたる可能性があります。たとえ要求内容が妥当であっても、このケースのように要求を通すにあたって継続的かつ執拗な言動が伴う場合は、社会通念上の相当性を欠きカスハラに該当します。
 
それを踏まえた上で、「ご不快な思いをお掛けしたことについては深くお詫び申し上げますが、人事に関する要求については社内規定に基づいた処遇となるため、ご要望には応じかねます」と伝えましょう。その際に「処遇の内容については従業員の個人情報であり、法律上開示ができかねます」と併せて伝えておくと良いですね。
 
それでも要求を続ける場合は、「そうした行為はカスハラに該当します。おやめいただけないのであれば、企業としてこれ以上の対応はできかねます」「警察に通報する必要も出てまいりますので、何卒おやめください」などの警告をもって、一切対応しないという意思表示をすることが大切です。

カスハラを受けた従業員へのフォローアップはどうすれば良いでしょうか?

労いの言葉と寄り添う姿勢で不安を払拭。心理的なサポートが大切です。

カスハラは「お客様とサービス提供者」という絶対的な力関係を背景に、威圧的な態度で言われるがままとなってしまうことも少なくありません。クレームが従業員のミスから始まった場合、負い目を感じることでさらに相手のペースに飲まれてしまい、過度なストレスや不安からメンタルに不調をきたすこともあります。
 
著しい迷惑行為の被害を認識した場合、まずは本人に慰労の言葉を掛け、悩みや不安・不満がないか丁寧にヒアリングしましょう。本人の意見や要望を聞く、問題を解決するための相談に乗るなど、心理的なサポートが大切です。
 
そのほか、産業医や専門のカウンセラーなどによるメンタルケア、ストレスチェックを実施してカウンセリングにつなげるといったことも効果的です。
 
一方で、従業員の対応に問題があった場合は、原因や対策を整理して改善点を話し合うこと。再発防止に向けた改善指導や対応マニュアルの更新など、従業員一人に負担を強いることのないよう組織全体でサポートすることが重要です。
 

嫌がらせと思われる行為で、スタッフを撮影しようとする行為があった場合、どうしたら良いですか?

「写真を撮ることをおやめください」と、きっぱりお断りしてください。

過剰なクレームをなさるお客様がスタッフや施設内を撮影しようとした際は、きっぱりとお断わりしましょう。万一撮影されてしまった場合でも、「施設内の撮影は禁止事項のため、撮影された写真や動画は削除してくださいますようお願いします。インターネット上で公開なさったり、誹謗中傷にあたる情報が流布されるようなことがあった場合には、社員の肖像権侵害や業務妨害などといった損害賠償請求を行う場合があります。」と明確に意思表示することが大切です。
 
カスハラに強い組織つくりを目指す視点では、対外的にもカスハラに対策に関する企業の方針・態度を公表すること、名札のフルネーム表記を廃止するなど、予防施策を講じることも効果的です。
 

判断基準の目安は店舗や社内で共有しておきましょう

迷惑行為のきっかけとなった具体的な理由のひとつに接客やサービス提供のミスが挙げられています。SNSの発達によりどのような対応を企業(店)側が行ったのかなどが、当事者以外の第三者に共有されるリスクもあるため、新たな風評リスク、再発を防ぐためにもケースごとの判断基準の目安を店や社内で定期的に共有しておく必要があります。店側の対応についてご納得していただけなかったケースなどを持ち寄って話し合って課題を共有したり、ロールプレイングなどで質の高い接客を強化する取り組みが実施できれば理想的です。
 

※この記事はカスタマーサービスの対応例を学ぶために事実を基に構成したフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

 

弁護士 藤本慎司 監修|東京弁護士会所属

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