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File3-2:不特定多数の客との折衝で、カスハラ発生を完全に防ぐことは難しい2025年8月4日

どんなお仕事でも、想定外の苦情・クレームがあるものです。その中でも働くみなさんの現場で頭を悩ませるのは、顧客による嫌がらせ行為。この連載では、みなさんから当相談室に寄せられた様々な「カスハラエピソード」を紹介し、顧客からの不当な要求に対する「毅然と」かつ「丁寧な」適切な対応を身に付けていくための対処方法をお伝えしていきます。
 
今回ご紹介するカスハラ事例は、【「顔も性格もブス!」と暴言・脅迫を連発する女性客】情報整理編です。

カスタマ―ハラスメントかどうかの判断は慎重に

西宮ゆり子(38)

こんにちは、カスタマーサービスのお悩み相談室の西宮ゆり子(38)です。今回のケースについて、改めて状況を整理してみましょう。
 
今回のケースのようにクレームのなかには、ストレス発散や思い込み、勘違いなどでお客様がご立腹なさり、興奮して大声をあげ激昂なさるようなこともあるでしょう。
 
担当者によっては、予期せぬ言動から動揺してしまい、的確な対応がとれなくなってしまうこともあります。マニュアルを頭に入れていても、実際に現場で威圧的な態度で大声を出されたりした際に、マニュアル通りに対応することは簡単ではありません。

 

M氏(62)の言動・行動

  • 正しい入館手順を伝えたところ、突然激昂した。
  • 女性スタッフに対して威圧的な態度を取り、「あの女の写真を撮らせろ!」「受付業務に向いてないから辞めさせなさい!」などと要求した。
  • 「ブス」「生意気」「女はしおらしくしておけばよい」など、人格否定で差別的な言葉を繰り返した。
  • クレームをきっかけとして、クレームの内容と直接関係のない愚痴などを一方的に話し続けた。

独善的な常識観でのストレス発散、自分の思い込みや勘違いがきっかけとなり不当な要求をしてくるといった傾向が見られました。

マウント思考タイプ
独善的な常識観に基づき、揚げ足取りのような要求をしてくるタイプ
 
このタイプに分類されるクレーマー
・世直し説教型
・ストレス発散型

誤解思考タイプ
自分の思い込みや勘違いに基づいて不当な要求をしてくるタイプ
 
このタイプに分類されるクレーマー
・思い込み型
・勘違い型

 
様々なお客様への対応の中で突然発生するカスハラ行為に適切に対処するには、組織的な準備が必要です。定期的なロールプレイング研修の実施や、対応のエスカレーションルールの明示など、適切な体制作りと教育によって「カスハラに強い」組織をつくることを目指しましょう。
 

カスハラと考えられる迷惑行為や言動から適切な対応を判断!

迷惑行為の種類

「暴言型」
 
侮辱的な発言や差別・人格否定・名誉毀損につながる発言を大声で怒鳴りちらすカスハラのこと  
「威嚇・脅迫型」
 
従業員に対して命の危険を感じるような不安や、恐怖を与えるような言動をするカスハラのこと  

具体的な言動

暴言に該当する言動

  • ・「若いからって調子に乗るな!」「女はしおらしくすべき」など、強い口調で人格否定を繰り返した。
  • ・丁重な謝罪を繰り返す女性スタッフに対し、「気持ちが感じされない、顔も心もブスね!」と大きな声で叱責。

 
威嚇・脅迫に該当する言動

  • ・「あの女の写真を撮らせろ!訴えてやるから!」「あんな奴に受付をやらせるな!」などと、SNS等、当事者以外の第三者に共有することをほのめかすような発言、罵声を浴びせ、「今すぐ受付を辞めさせろ!できないなら異動させるべき!」と強く迫った。
  • ・入店拒否をお伝えしたにも関わらず、「フン!また行きますからね!」と来店を匂わせ一方的に切電。

 

判断基準(目安)

  • ・対応者にとって傷つけられるような発言、限度を超えるような表現
  • ・対応できない等の最終見解は回答済みにも関わらず、過剰な要求
  • ・受け手にとってSNSやマスコミへの暴露による個人の尊厳を傷付けられるような脅し表現
  • ・威圧、プレッシャーを感じる表現

 

対応トーク例

  • 「〇〇様、そのようなお申し出は恐怖を覚えてしまいます、とても怖いのでおやめください。」
  • 「お申し出の内容につきましては、すでにご説明させていただいたように対応できません。ご理解をいただきますようお願いいたします。」

 
「こっちは毎日で大変」といった、クレームとは無関係な発言を持ち出し、独善的な常識観でストレスを発散する様子。自身の思い込みや勘違いがきっかけとなり、不当な要求を繰り返す悪質クレーマータイプの傾向が見られます。また、「顔も心もブス」「訴えてやる」など発言から、【暴言型】【威嚇・脅迫型】のカスタマ―ハラスメント行為を行っており、毅然とした態度で対処すべきであることは明白です。
 
次回は、【マウント思考×誤解思考×暴言型×威嚇・脅迫型】の効果的な対処方法についてご紹介します。
 

※この記事はカスタマーサービスの対応例を学ぶために事実を基に構成したフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

 

弁護士 藤本慎司 監修|東京弁護士会所属

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